[257]ゲイフレンドリー(2)

観光関係の仕事をしていると、接客のみならず仕事仲間にもゲイのつながりが出来てきます。特にパリのシャンブル・ドットのオーナー達の中にはゲイカップルも数件あり、日本人以外の観光客にはかなり受けていて予約が取り難いお宅もあります。
ゲイカップルのお宅に泊まるお客様は必ずしもゲイではありません。普通の人も泊まり、そのフレンドリーなサービスとハイセンスなお宅という事からリピーターがかなり多いようです。ゲイカップルのお宅は取り分けお洒落なお宅が多い。センスも良いのですが、ちょこちょことした調度品にこだわっているというか、芸術家にゲイが多いのはなんとなく納得です。
私も海外に住むようになるまでは、他の人と同様でゲイに対する偏見はありました。レズの友達なんか作ったら自分も襲われるんじゃないかって。でも、レズのカップルと同居して分ったのは、それは普通の男女の関係と一緒で、興味のない相手には普通以上の態度を示さないこと。ホモの友達を持ってみて分ったのは、彼らは女性の私以上に繊細な感性があり、人の振り見て我振り直せじゃないけど、女らしい仕草、行動を反省させられる事が多いこと。
センスも良いし人気もあるんで、中には料理が得意で料理教室さえもやってくれるムッシュがシャンブル・ドットのオーナーの中にはいます。フランス料理界は男性社会、バイオリズムが比較的安定しているのが男性だから、味付けにムラがないと聞くだけあって、男性で料理に凝っている人のそれは大変美味しい。そしてゲイカップルになるとインテリアから食器に至るまで女性のように拘る。
ゲイカップルの場合、経済的に余裕のある人が多いので普段の食卓でもスタイリッシュな食器を使っていることも多い。テーブルクロスやナプキンなどのリネンがとっても素敵なのもこの手のお宅。最近はレストランでさえも、中級以上にならないとテーブルクロスやナプキンにリネンを使うことは少なくなって来ています。(クリーニング代が相当掛かりますからね)だからシャンブル・ドットのような一般家庭でビストロのようなこじゃれた雰囲気が味わえるのはやっぱり泊まる価値あり。
パリでまともなホテルに泊まろうと思うと三つ星以上でないと難しい。日本のビジネスホテルのレベルさえない、設備が全く整ってない。場所だって繁華街だと高いかうるさいか。地下鉄まで近くて静かな、安全な場所にあるのがシャンブル・ドットの基本。
夢路とみこ
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[247]シャンブルドット(3)

最近増えてきたCDHの宿泊客が50代アッパーのマダムたち。子育ても終えて自由な時間が出来たから一人旅、仲間とのグループ旅行でパリに来るときにここを利用するというケース。オーナーもこの年代の人たちが多いから、迎える側も宿泊する側も数日の滞在後にはかなり仲良くなっている様子が伺える。
これまではCDH宿泊というと「ホームステイ感覚」というキャッチフレーズのせいか語学学校を始めとしてお稽古事に長期滞在する人向けに考えられていたけれども、でも最低2泊以上からという短期滞在に惹かれてさまざまな年齢層が利用するようになりました。オーナーの中には追加料金で家庭料理を教えてくれる人もいるので、それもまた滞在中の楽しみになることも。本格的な料理学校というよりも、普段の食材で、また日本へ帰っても同じ味が再現できるという気軽さが受けているようで。
でも、日本以外の観光客のCDH利用者はこれまでも年齢がさまざまで、家族で利用することも多い。それはまるでパリに住む親戚を訪ねる感覚でやって来ているようでした。私も日本人観光客がさまざまな世代でこれを利用することを勧めたい。
先日手配した4人のマダムはパリでの始めてのCDH体験でなんと2週間以上も滞在。帰国前日に様子を伺いに入ってみたところ、みなさんリラックスして、オーナー夫妻と打ち解けていて楽しそうでした。好奇心旺盛の日本のマダムたち、もてなし精神に溢れるフランスのオーナー達。これが60数年前に戦争をしていた国の人たちの姿とは信じられない。
年齢も近かったせいかかなり打ち解けていて、滞在中に和食を作ったりしたそうです。アメリカでもB&Bを利用したことのある日本のマダム達の感想としては、フランス人は食に対する好奇心が少ないと。確かに。ここは美食の国だからあまり外国の食に対する関心もなければ貪欲なところもない。その分、自国の美食をたくさん味見させてくれる。
オーナーからは、日本人は静かで清潔でとても良い宿泊客だと。流暢に会話が出来ずとも一生懸命にコミュニケーションを取ろうとするその真摯な態度は好感がもてるとも。私が手配を手伝うようになってから、ここのオーナーのお宅は日本人観光客が多く利用するCDHのひとつとなり、オーナーもお部屋の模様替えや設備投資に余念がありません。日本人が宿泊するようになって、これまで気づかなかった設備に目が行くようになったとも。
夢路とみこ
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[246]シャンブルドット(2)

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