ミッシュランの星がつく理由の一つに、わざわざ車を飛ばしてそこまで出かける価値があるからというのが基準にあるらしいのですが、それから考えるとこの店でステーキタルタルを食べるには、地下鉄とバスを乗り次いで、店がある敷地の中に入るのに3ユーロの入場料を払ってやっと席につける、となると、ここのこれはミッシュラン並に贅沢かもしれません。でも、この素晴らしい屋外レストランで頂くステーキタルタル18ユーロはそうしてまで来る価値があると私は思っています。もちろんこれからの季節のみの話ですけどね。
ステーキタルタルの美味しさの決め手は、誰がそれを作るかによります。腕力があって混ぜ混ぜに自身のある人ならシェフは不要でしょうけど、私は専らシェフがやってくれるかどうかを確認してから注文します。シェフが作ってくれる、ここで美味しさの7割は決まったもん。残りの2割はお肉が上質で、またそれはきちんと挽いてあるかどうかですね。挽き肉機にかけただけの、ミミズがたくさんいるような模様が見えるようではダメ、やっぱり更に細かく挽いてそれをスパイスや玉ねぎなどで上手く、あのミミズ模様が見えなくなるまでに原型を無くさないと。そして最後の1割はこのステーキタルタルをどのワインで頂くかによると思いますね。
私はステーキタルタルを注文するときに、ボージョレの10のクリュ(特級畑)のものを注文します。ボルドーやブルゴーニュではしっかりだし、コート・デュ・ローヌだとあまり平凡すぎる。赤でさっぱりしながらも深みがあるものとすると、やっぱりモルゴンやコート・ド・ブイイのようなボージョレでも上級のワインを選択するのが好きですね。
この店は、ブローニュの森にあるバガテル庭園の中にあるテラス・レストランです。バガテルと言えば薔薇園が有名で、つい最近も国際薔薇コンクールが開かれたばかり。園内の温室では夏になるとショパンのピアノコンクールを始めとして音楽イベントが盛りだくさん。今年は日仏友好条約締結150周年を記念した行事がフランス各地であり、この8月中旬まで「kimono」展が開催されています。結婚式の披露宴もこのレストランではよく見かけます。ステーキタルタルだけのために来る価値ある場所です。
バガテル庭園を紹介しているブログはこちらです
http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/39993138.html
夢路とみこ
[268]ステーキタルタル(2)
前回この料理を紹介してから知り合いの日本人友人達がこぞってステーキタルタルにはまりだした。今、職場と呼べる場所が幾つかあってそのうちの一つがシャンゼリゼなものですから、シャンゼリゼ界隈のお店をちょこちょこ偵察に行っています。コンコルド広場から凱旋門の一直線のこの大通りに並ぶ店はよしにあしきに色々あります。でも、ちょっと横の路地に入ると、これはイケルという店にちょこちょこ出くわすのが、やっぱり美食の国らしい。
ステーキタルタルについて言わせて貰うと、シャンゼリゼでお勧めは現在2軒。一つはヴィトン側の通りをコンコルド広場に向かって下る途中にあるCulture Biere ビール文化?という名前のお洒落なビヤホール兼レストラン。ここはハイネケンが経営しているらしくビールのワンダーランド。地下にシックな大人のビールバー、地上階はビールグッズとカジュアルなビヤホール、2階は車椅子でも十分にアクセスが出来る設備が整っているレストラン。
ここのステーキタルタルはプロヴァンス風やオーヴェルニュ風と変り種があります。興味本位でオーヴェルニュ風を注文。なんとステーキタルタルの中にオーヴェルニュ産のブルーチーズが入っていて美味しいんだけど途中で飽きるコクの深さ。ビールにはぴったり。ビールもミニグラスで三種類楽しめるものが5ユーロ程度である。ビールのシャーベットはこの料理の後のお口直しとしてはものすごく気の効いた一品。
Culture Biereのサイトはこちら
http://www.culturebiere.com/
もう一軒はわき道のMarbeouf通りに入ってすぐのオーヴェルニュ地方はアヴェイロンのサラール牛に力を入れる店、La Maison de l’Aubrac。サラール牛とはバッファローのような角を持ち、気が荒い。お肉の美味しさとその牛乳はライヨールのチーズを作るなど怖い顔に似合わない食材。この店のステーキタルタルはそのサラール牛なのですが、お肉の色がまるでトマト。味はトロ。サラール牛の美味しさはステーキでは知っているけどタルタルは初めて。バスク地方のスパイス、エスペレットが効いていてピリ辛具合が良い。この店はオーヴェルニュ名物のじゃがいも料理、アリゴもありますよ。
La Maison de l’Aubrac のサイトはこちら
http://www.maison-aubrac.com/
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