ディジョンからローカル線で1時間強にあるフランシュ・コンテ地方はフランスというよりもスイスのよう。すぐ隣がスイスでこの付近に住む人は国際線の飛行機に乗る時はパリよりもむしろ越境してジュネーブ空港へ行くというもの頷ける。首都ブザンソンの駅前にある花時計はジュネーブの英国庭園内にあるそれにそっくり。また町並みもジュネーブやローザンヌのよう。
フランスにありながら歴史に翻弄されて外国領土になったり言語を変えられたという点では、アルザス・ロレーヌ地方が有名だけどここよりも先に翻弄されたのはこのフランシュ・コンテでした。ここはスペイン領だった事もあるしスイス、ドイツになったこともあり。スペインというのは意外や意外。でもブザンソン市街にある古い建物にはスペインの雰囲気を漂わせるお洒落なものが幾つもあり納得。南仏ほどに暑くもないのに広々としたテラスカフェが広場にあるのはやっぱりラテンの名残りかな。
[082]ジュラワインの本拠地
その独特の味(シェリーともウイスキーとも取れる)からのせいか、日本ではあまり馴染みのないヴァンジョーヌ、黄色いワイン。このワインを代表とするジュラワインの中心地アルボワはブルゴーニュワインの中心地、ボーヌに匹敵する位に町中にワイン関係の店が続き試飲出来るカーブも多々とあり。
ボーヌの場合はプチトランがあってそれに乗れば城壁の外にある葡萄畑を見れるけれど、ここではプチトランもなければ畑もそう近くない。中心のリベルテ広場からGrand Rue沿いに歩けば山肌に栽培されている葡萄畑が見えてちょっとしたパノラマ。
アルボア駅は無人だし、駅付近にも民家が数件(でも花で飾られていてとても綺麗)。だからこんなところがジュラワインの中心地かなと意気消沈するのはまだ早い。Centre Villeの看板を見ながら徒歩15分で町の中心地。途中、パスツールの家を通ります。ワクチンを作った名医の血液学者の彼は葡萄が腐り御酢になるのを防ぐ醸造方を考え出したワインにとっても名医。彼が生まれたのは同じフランシュ・コンテ地方のドール、でも育ったのはこのアルボア。彼はきっとジュラワインの一番の愛飲家で理解者だったのでしょう。