[137]ディジョンB級グルメ

最近東京の渋谷でも「ケバブ」「シシカバブ」のサンドイッチ屋を見かけるようになりました。私が東京に住んでいた頃はまだ見たことなかったこのアラブ風豪快なサンドイッチ、帰国する度にライトバンで移動出店しているのを見て驚いています。ピタパンともポケットブレッドとも呼ばれる袋みたいなイースト菌の入っていない、聖書には「種無しのパン」と書かれている、この平たいパンの真中に野菜たっぷり入れて申し訳ない程度にローストした羊肉を乗っけたもの。
正統派はここでヨーグルトのような爽やかな味わいのブランシュ(白ソース)を掛けてもらう。ピリ辛派はアリサという唐辛子をそのままつぶしただけのように辛いソースをも入れてもらってる。ちょっとあんたそれは野暮じゃない、と私が口をアングリしているのはマヨネーズを入れてる人。やっぱりディジョネー(ディジョン人)ね、とその愛国精神に脱帽するのはマスタード使う人。ものすごいボリュームのあるサンドイッチだからこれだけで一食OK、ダイエット 3日間という感じ。

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[136]夢は叶えるためにあるもの

突然解雇されてから4ヵ月後近く、労働許可証が切れる直前に滑り込みセーフで再就職にこじつけた。再就職先は前の会社のライバル船会社。紹介してくれたのは前の会社の副社長。船が好きでブルゴーニュが好きで、アル中でも船の沈没で死んでも良いからここで船の仕事がしたいと言うことを知っていた彼は、私から船を、ブルゴーニュを取り上げたらただの「おばちゃん」になってしまうことを危惧してくれたようだ。
解雇直後、「とみこはこれからどうするんだ。日本にはもう帰る場所ないんだろう?」と心配してくれた。そう、両親が他界して、持ち家を処分してスーツケース一つでディジョンに来た。ここで自分の人生を形成するつもりでやってきた。だから毎年帰国しても帰る家がないからホテル泊まり。日本は故郷であっても故郷でなくなりつつある。だから意地でもこのディジョンに居座らなければ。運河と葡萄畑が心の拠り所。
副社長がライバル会社に電話してくれた。「もう知っての通りうちの会社買収されてね、米国以外の市場には船を卸さないんだよ。でね、日本市場担当している者も解雇されたんだ。お宅は日本市場興味ないかね。」と。電話先の相手は再就職先のブルゴーニュ支社支社長のところ。この会社も実は米国資本の会社で本社はボストン近郊のプリモス。本社でマーケティングを行い、ブルゴーニュは船の運営のみ。ここも米国市場以外は全く手をつけていないというクルーズ業界お決まりの米国市場中心型。

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