1960年代に東京では歌声喫茶と言うものが流行っていたようだ。それはみんなで歌詞カードを持ち、カチューシャやちょっとアナーキー風の歌を合唱し共に青春を謳歌したというべきでしょうか。私が日本を出る少し前にもそのブームが少し再来した様で西新宿あたりにそれがあったのを覚えています。
東京で聞くシャンソンは日本語訳だけどそれなりに艶っぽく、悲しげなピアノのメロディーを奏でられると誰しもがピアフに聞こえ、モンタンに聞こえたものです。さてパリより先の本当のフランスというとなると。ディジョンではつい最近になってそれらしきものを見かけるようになりました。私も只今ハマッている最中。ブルゴーニュ美食の好敵手であるリヨン美食のレストラン、シェ・レオンが月に1回、ソワレ・ミュージック音楽の夕べ)を始めたのはここ数ヶ月前のこと。
[069]ラパンアジル
パリのナイトライフで私が気に入っているのはシャンソニエ。モンマルトルにあるラパンアジルはかつてエディット・ピアフやイヴ・モンタンが出演し、エリック・サティが常連だったという。ユトリロや作品の多くにこの店やその界隈を残したと言えばこの店がいかに由緒んもある店かお分かり頂けるでしょうか。
この店に魅せられる理由のひとつに出演歌手の歌うシャンソンがナツメロからオリジナル曲に至るまで全て感動的である事。集まる客層が観光客のみならずパリの人達もいて本当に大人の社交場、パリに来たと言う感じがします。
店内は照明が暗く落されアップライトピアノが古き良き時代を思わせます。壁にはユトリロを始めロートレックが描いたアリスタッド・ブリュアンの絵やレトロな写真で溢れています。営業時間は午後9時から午前2時まで。途中の12時半頃から約2,30分のスタンダップコメディー(漫才)が入ります。仏語と仏語のジョークが分からないととても眠い時間です。それ以外は専属歌手の人達が入れ替わりにアコーディオンやギター、指まで楽器にして素晴らしい歌声を披露してくれます。