[153]プライド高すぎません?

私がその昔、香港勤務を契約満期前に放棄した最大の理由が「食事が合わない」こと。海外就職に憧れる人からするとなんと幼稚でなんと贅沢なそしてけしからん理由だと帰国後によく言われました。私にとって「食生活」とは犯しがたい牙城。これがまず生活の基本であり、これを犠牲にしてまで叶えたい願いは全くなし。いつも美食でなくても良い、でも好きなものに囲まれて暮らしていたいというのが正直なところ。
私の舌が覚えている香港、飲茶以外はみんなあんかけ、気力まであんで覆われてしまった。箸休めにしていた和食は高級料理でパスタは茹で過ぎ。この国にはアルデンテの翻訳がないのかと思うくらい。自由貿易でワインは安いのに見合うフレンチがなかった。とどのつまり、私の舌が覚えている香港は広東料理以外はあまり美味しくなかったということ。
我が美食の里ディジョンにも同様のことが言えつつあると私の舌は証言する。フランス料理ならおふくろの味から三ツ星シェフまでどこをかじっても美味しいのに、フレンチ以外となると美味しいのを探すのに一苦労。つまり、フランス人のプライドがフレンチを凌ぐ美味しい外国料理の店が出るのを阻止しているのではないかと思うほど。

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[151]なさそうであるもの

日本では当然の慣わしの如くある「同僚とのお付き合い」これは良しに悪しきに大事な事。社内での関係を円滑にするための潤滑油みたいなもん。日本にいた頃これを煩わしいと思った時期もあったけれど、今、海外で仕事をする上でこの大切さがよく分かるようになった。孝行したくても親はすでになし、という皮肉と一緒で、付き合いたくても今は一人でSOHOしてるから同僚はすでになし。個人主義の国というと私たちはすぐに米国を想像してしまうけれど、フランスの方がもっと徹底している、というか彼らの頑固さは妥協とか協調とか知らんのかと言いたくなる位に個人が孤立している気がします。だから、定時になると仕事があろうがさっさととんずら。
私がこれまで働いた海外の国々では仕事があればたまにだけど残業するし、帰宅前にちょっと一緒に一杯なんて事も。しかし、つい最近までの同僚がいた頃には終業後に一緒に飲む、週末に出かけるなんてのは殆ど皆無に近かった。フランスにはそんなものないのかもしれないと信じてた。しかし、最近になりばらばらに再就職した元同僚たちから終業後にご飯一緒にどうコールが入ってくる。そして世間話をしたり、美食やワインについてお喋りを楽しむ。なさそうであったよ、同僚とのお付き合い。元同僚だけど、嬉しいかなお付き合いがある。

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