個人旅行のアテンドをしていて困ることが幾つかありますが、中でもこれは頂けないわと思うのはレストランにて日本のチェーンの居酒屋での飲食のようにお皿を回しあう事。これは他の席から見ると日本人独特の異様な光景に見えるらしく、礼儀正しい日本人というイメージに反して食事のマナーの悪い日本人という観念を植えつけてしまうようです。日本人の食事の仕方の嗜好を知らない人からすると「下品な日本人」という印象を持たれてしまうようです。
食の都フランスでは、昔よりは少し砕けてきた、リラックスした雰囲気にはなったもののそれでも食卓におけるマナーはあります。外食の際には、例えば、コースで前菜+メイン+デザートと3皿全部注文しなくても、やっぱり前菜+メインかメイン+デザートの2皿が望ましいようです。メインのみというのはランチタイムならまだ黙認のようですが、利益を出さないとギャルソンに払う給料の心配さえしなければならないお店にとって、メイン一皿と水道水だけ注文する夜のお客は有難い迷惑。
それだったらカフェかブラッスリーでお食事をすることを勧めます。こちらだったらレストランのような堅苦しさはないですし、お店の方もドリンクで採算が取れるように経営しているので。ただ、レストランのような雰囲気もなければ、メニューも簡単なものばかりですね。
数名で出向いてみんながそれぞれ違ったものを注文、人のものを味見してみたいという気持ちは分かります。でも、テーブルの端から端までお皿を宙に浮かべて回すのはやっぱりおかしいですね。ちょっとお隣のお皿をつまませてもらう程度で我慢してみてはいかがでしょうか。フランスのお料理は日本のおばんざいのような小さな分量というのではなく、量も多いですし一人一皿が原則です。食べきれないなら残しても構いません。お皿を他に手渡しするよりはよっぽどスマートですよ。
どうしてもフランスのメインは量が多くて入らない、というのであれば前菜を2皿頼む、前菜+デザートを注文するという手もあります。旅行に来ている人はそれが滑稽に写ることとしても、もう来ることはないだろう店だからと思われるかもしれませんが、貴方が町の案内役をお願いした相手はこの後もその町に住み続けるのでその後の居心地が悪くなりますよね。現地でお世話になっている人のこれからもぜひ配慮してくださいね。
夢路とみこ
[261]シャンゼリゼでごはん(1)
パリの銀座とも呼べるシャンゼリゼは高級なブティークやお洒落で人気のある商品が並ぶから、カフェでお茶するにもやっぱり高くつくのは仕方が無いということ。この通りに面するレストランは一部のチェーンレストランやピザ屋を除けば、だいたいが高い。グラビアの撮影や有名人が利用するようなブラッスリーもある場所、そしてパリ観光客には外せない一画ですから。
私が今勤務する複数の会社の一つがこのシャンゼリゼにあり、ランチをする場所を探すのは最近の楽しみ。シャンゼリゼも一つ横道に入れば気軽でお手頃なレストランもあるしファーストフードでもそれなりに美味しいところが幾つかあるんですよ。
特にルイ・ヴィトンの本社反対側にあるスウォッチのお店の隣から入るRue Washingtonワシントン通りは、知る人ぞしるレストラン界隈。シャンゼリゼで買い物、ウィンドーショッピングの後で食事をするなら、または有名キャバレー、リドーのショーを観る前に軽く食事をするならばお勧めの店が幾つもあります。ここの通りは穴場。
たとえば、レストランニュージェットセット、ジェットセットとは専用のジェット機で世界を遊びのために飛び回るお金持ち、それをするセレブをジェットセッターと呼びます。名前だけ聞くと「ださい」と思いますが、でも店内はシック。それなりの品格のある店なのになんでこんな田舎の成金趣味の名前を付けたのかが不思議。オーナーの趣味なんでしょうか。ここはフランス料理ではなくイラン料理、オリエンタル料理です。
店内は赤がテーマなのか椅子の革張り、壁のビロード生地など赤で決めています。テーブルにはリネンのクロス、その上に紙のテーブルマット(ここはダサい)。サービスがきびきびとしていてフレンドリーなのは嬉しい。定食メニューは昼も夜も16.90ユーロはあっぱれ。前菜とメインとデザートかデザートの代りにグラスワインという組み合わせ。日本人の口には合うんだと思いますここの料理は。野菜料理も豊富。
たまにですが、店の外にあるテラス席では水パイプをたしなむお客さんもいて、これをみているとここはパリかテヘランか、というエキゾチックさを感じます。水パイプって甘い香りがするんですよ、近くの席で食事していたらその香りが伝わってきてちと迷惑。
New Jet Set
14 rue Washington 75008 Paris
tel 01 45 61 00 70
夢路とみこ
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