[111]感性を刺激した恩師たち

何に夢中になるにしてもきっかけとなるものがあり、それは物や人であったりします。私が英語に夢中になったのはビートルズ、仏語にはまったのはベルサイユのバラ。
でもそれらはきっかけとなっただけで、後押し力を貸してくれたのは出会った人たち。英語が好きでも成績に繋がらない中学生の頃出合った英語教師はカリフォルニア大学への留学を終えたばかりの人だった。クラブの顧問でその時間は毎日がアメリカのスライドショー。下手だから喋るのを躊躇する私たちにアメリカ式の公平さで励まし、可能性を示してくれた。肝心な成績はあがらずとも英語に対する興味は刺激され英日対訳のスヌーピーの本を読む毎日が続いた。私のニックネーム、チャーリーはチャーリー・ブラウンのまぬけなところが私のそれにあたることから付けられて、未だにそれは私の生活の一部です。

英語は喋れるようになった、留学も海外勤務もした、でもやっぱり私の英語は中級だな、と思わせたのが可憐な花の名前をもつ英語講師。海外生活経験は私よりはるかに少ないけれどその英語力には圧巻されます。発音もさながら美しい英語を話します。今更ながらでしたけどブラッシュアップのためにこの先生の下、英語の復習講座を受講し目から鱗。真の語学力って自分が上手くなることではなく、自分が関わった誰かが上手くなるようになって初めてその価値があるのかもしれない。そのためにはまず自分がきちんと理解しなければならない、そうでなければ人にそれを理解させるのは不可能だと気づかされました。
そして今、私の語学との格闘は続いています。労働許可による滞在許可があるのと、商業上でも意思の疎通程度ならば何とかなっているからもう通学の必要はないのですが。でも合えて受講しつづけるのは、やはり上達したい、ただ喋れるようになるのではなく私らしさが表現できるレベルになりたいというのが目下の目標だからです。私が通うアリアンス・フランセーズ・ブルゴーニュ校は私立で少人数制という事もあり私のような年齢の者でも気軽に学べます。これが公立だと学習カリキュラムと1世代も違う人達に囲まれる事が「おばちゃん生徒」には精神的にちと苦しい。そのせいかな、同年代の生徒が多いのは。でも私にとってこの学校の最大の魅力は校長で講師のフランソワ-ズの存在です。物覚えが悪く好奇心だらけの私にしっかりとフランス語を叩き込もうとする彼女の努力が痛ましい。
私の学校: http://www.alliance-francaise-bourgogne.com.fr

夢路とみこ

[107]美食の里対決

フレンチガストロノミーの里と言えばすぐに挙がるのは我がブルゴーニュ地方、えっへん!それはロマネ・コンティに代表される銘醸街道のワインに始まり、モルヴァン山脈の麓に放牧される白い牛、高級食肉牛のシャロレーがその地位を更に高める。それ程知られてはいませんが、トリュフだって取れるんだから。それは去年11月日本のテレビでも紹介されました。丁度、帰国していて貴乃花関がブルゴーニュでトリュフ狩りをしているのを観ました。それにこの地方ではフォアグラだって作っています。エスカルゴはブルゴーニュだけだけですが。
私が尊敬する亡きロワゾー氏を筆頭にここにはミッシュランの星つきレストランが多いこと。この地方では星がなくても美味しいレストランはたくさんあります。それはフランスをあちらこちら旅行し食べ歩いているから断言出来ます。とにかくこの地方は食べることに事欠かない、食い倒れしたい人はここに来てください。

しかし、このブルゴーニュ地方のすぐ下、ローヌ地方のリヨンはディジョンのライバル。地名も似ているせいかあちらも負けてない。リヨンの美食で私がその脅威を感じるのが屋内市場(Halle de Lyon)、パール・デユー駅付近にあるそれ。ディジョンの屋内市場が食材の豊富さと新鮮さでストレート・パンチならば、あちらはお惣菜の見事さと有料試食スタンドや市場内のビストロでノックアウト。とにかくディジョンとリヨンの屋内市場が揃ったらそれは築地の場内外市場だ!お鮨やうまい定食を食べたいのなら築地の場外市場へ行けば良いように、リヨンのブッション料理を食べたいのならリヨンの屋内市場へ行けば良い。リヨンにはポット・リヨネーズと呼ばれる厚底のワインボトルがあり、結構これが見物です。ディジョンでブルゴーニュ料理を食べたいのならその辺のジモティのブラッスリーへどうぞ。わが町ディジョンは町自体が美食ですからだいたい美味しいです。
リヨンの屋内市場のお惣菜は見るだけで楽しい、見るだけでお腹一杯になります。お惣菜と言えども盛るべき皿に盛ればきちんとしたオードブルになるから馬鹿に出来ない。リヨンのブッション料理で修行して星を取るシェフは多いと聞く。星を取るまではリヨンで、取ったらブルゴーニュでと美味しい関係が見えて来ます。この美食の里対決、判決は如何なる事に。
リヨンの屋内市場住所 102, cours Lafayette
市場内にある私のお勧めブッション料理の店はここ
Chez Les Gones シェ・レ・ゴーヌ
電話:04-78-60-91-61 7a.m.から3p.m.まで 月曜休

夢路とみこ