パリには幾つか日仏文化協会があり、それぞれが独自のスタイルで様々なイベントを以って日本文化を紹介しています。そこには常に日仏の逐次通訳があり名通訳者なんかいて大変勉強になります。私のいう名通訳者というのはユーモアに溢れ、実用的でもあり豊かな表現をされる方のことです。
15区ケ・ブランリーにあるパリ日本文化会館で開催された「味噌」をテーマにしたセミナーに参加。味噌について色々と学んだのも確かなんですが、面白いと思ったのは、その調理法。パリでは和食の食材は簡単に揃うけど高い、私達はお酒でもみりんでも買えば使うけど周囲の外国人はこれを買ってもその料理をするときのみなので宝の持ち腐れ。お酒やみりんがないと和食は作れないと思っていた私にこのセミナーではこれらの代替品にワインを使うことを提案。
お酒の代りにロワールのミュスカデ・シュル・リーをみりんの代りに南仏のヴニーズ・レ・ボームをと聞いたときに大きく頷いたのは私だけではなく、和食の知識を持っている他の外国人の聴講者もいた。確かに、これなら和食の作り方を説明するときに分りやすいし、また実用的。これらのワインなら料理の後、飲んだり他の料理にも使えるから無駄がない。そしてこれらのワインならお酒やみりんの半額で買える。
また味噌についての解説以外には味噌を使った料理を何品かプロの料理人が作ってくれたのですが、ここでまたびっくり。その一品の中にあった豚汁。なんと隠し味に七味やしょうがが入るではないか。そしてマッシュルームも。パリのなんちゃってお寿司屋でお味噌汁に乾燥マッシュルームがはいっているのはこのせい?それともマツタケのつもり?いずれにせよ、香辛料が効いた辛い食べ物はワインに合わない理由からフランス人はあまり辛いものを好まないけど、ここで使われた七味は風味を掻き立て、しょうがは身体を温め、そしてマッシュルームは更なる出汁を出していて、美味極まりない。
通訳は料理研究家の方のようでしたが、フランスの食文化を良く熟知しているせいか、たとえや代替品の提案の仕方が上手い。和食を全く知らない人でも「私にも作れるかもしれない」という気にさせる通訳ぶりだと思いました。私はこの会場で見た和包丁一式をみて、「あれがあったら私にも作れるかもしれない」という気になりました。
パリ日本文化会館
http://www.mcjp.asso.fr/index.html
夢路とみこ