[102]マルセイユ第三の港

マルセイユには観光名所の旧港、うちの船とは比べ物にならないくらいの巨大豪華客船が寄港する新港とイカ釣り漁船みたいな小型漁船が停泊するヴァロン・デ・ゾッフVallon des Auffeという港があることをご存知ですか?私たちもここは現地ガイド本の日本語版でこれを見つけました。港の写真を取るならばこのヴァロン・デ・ゾッフをはずす訳にはいかない。そんな気にさせるくらいにフォトジェニックな港です。
この港へは旧港から83番のRond-Point du Prado行きバスに乗りVallon des Auffeで下車。ここまでの道のり、Corniche President Kennedy通りはヨットハーバーに面していて「ああ、マルセイユや、マルセイユや」という気分になります。反対側は別荘が立ち並び、ちょっとニースやカンヌを思わせます。だからそっちまで足が伸ばせなくても気分だけは行ったつもりになれます。椰子の木の並木とヨットハーバーとここは南仏か、それとも南カリフォルニアかと錯覚を起こしそう。

下車したらまずは海に向かって聳え立つモニュメントに向かってください。そこから眺めるマルセイユの景色は圧巻ものです。リヨンをしのいでフランスの第二都市になりつつあるマルセイユ、その混沌とした大都市が目の前に迫るように広がります。このモニュメントはどうやらアルジェリア戦線の際に戦死した人たちに奉げるもののようです。フランスという同じ国のために戦死した人たちへのオマージュとしてはパリの凱旋門よりちょっとさびしい場所にあるなという感じもしましたが、地中海に向かって勇ましく船出した彼らには相応しい静けさなのかもしれません。
モニュメントのある反対側がヴァロン・デ・ゾッフです。こちらは鳥羽一郎の「兄弟船」のメロディーが似合いそうな、そんな粋な港町です。タイタニックかクィーンメアリー級の大型客船の優雅な世界の新港、ジェットセッターが華麗に太陽族する世界の旧港とはまた一線を画してこれもまたマルセイユ港の顔のひとつです。ここの見所は変わった家屋。住人はリカちゃんですか、バービーちゃんですか、と聞きたくなるくらいに可愛い軒並み。でも真の住人は数十年前だったらリカちゃんかバービーちゃんだったようなおばちゃん、おじちゃんでした。
83番のRond-Point du Prado行きバスでは海岸沿いからマルセイユの住宅街まで見れてちょっとした観光バスです。終点のRond-Point du Pradoには地下鉄の駅があり帰りはそれで中心街へ。住宅街はこの町の日常臭さが見えて面白い、やっぱりブルゴーニュとは違う、他の南仏とは違った独特の文化がありました。

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[101]南仏の漁師鍋の味は?

日本から友達が遊びに来た。冬のディジョンの寒さには想像を絶するものがあったらしい。一応「こちらは寒いよ、マイナスだよ」とは注意していたものの可哀想な位に寒がった。せっかく遊びに来てくれたのに寒いだけのフランスを見せるのはどんなもんだと思い南仏に避寒することにした。去年はニースやカンヌへ行きとても避寒出来たのでマルセイユまで行けば太陽が私たちを待っているはず、と期待した。
ディジョンからのTGV、わずか4時間弱でマルセイユ。リヨンを過ぎればもう南仏。車窓の景色もアヴィニヨンまで来ると石灰岩が剥き出しの岩山が見えてきて映画「マルセルの夏」を思わせる。ここまで来ると気分はルンルン、暖かい気候と真っ青な地中海が私たちを待っている。はずだった。。。。。3日間の滞在中、異常気象でとても寒く風がびゅんびゅん。これだったら寒くても風のないディジョンの方が有難かったかなとも思った。
仕事柄旅行の多い友達に言わせると「マルセイユはナポリ」だそう。「ナポリを見て死ね」という言葉があるけれどマルセイユ見たからもうこれで成仏しそう。私にとってリヨンから南の景観はすべて南仏。あるのは洗濯物を外に干したオレンジ色した煉瓦屋根の家屋、椰子の木並木、外国人の私でもすぐ気づく訛りの強い仏語。ここはブルゴーニュじゃない。フランスって広い、本当に広い。全てを見るには、食べるにはこの先くらい時間が要る?

マルセイユに来たら何が何でも漁師の鍋で知られるブイヤベースを食べないと、と友達。マルセイユに来たら何が何でも近郊の村、カシス産の白ワインを飲まないと、と私。ブイヤベースは通常2人前から注文、一人旅ならスープ・ド・ポワソン(魚のスープ)で十分。ブイヤは鍋料理だけど奥で料理して魚とスープと別々に持ってくるからあまり鍋という感じがしません。しかしワインはやっぱり何が何でもカシスの白を飲むべし。このワイン、甘いんだけどドイツワインのような甘さでなく、魚の味を引き立てる甘さ。
私たちが行ったブイヤベースの店2件をご紹介します。どちらも旧港の周辺です。
シックな店:Le Fetiche 38,Rue St. Saens 13001 Marseille
電話:04-91-54-00-98
この店でカシスの白を飲み感動,そのワインはこれ
Bontoux Bodin Peres et Fils社の Cassis Blanc de Blanc
カジュアルな店:LA LOCOMOTIVE 58, Quai du Port 13002 Marseille
電話:04-91-56-66-84
こちらの店の方が「家庭的」な味のブイヤベースです。カシスのワインはなく、ランドックやコート・デュ・ローヌのカジュアルなワインです。
カシスのワインは市内のNouvelle Gallerie(というデパート)の地下食品売り場でも買えます。

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