リヨンを代表する郷土料理のひとつにクネルがあります。これはブロシェットと呼ばれる川カマスのすり身に小麦粉や卵白を混ぜて蒸したものです。それをナンチュアソースと呼ばれる甲殻類、つまり海老とか貝などの出汁で作ったオレンジ色のソースを掛けて食べます。ガイドブックではこのクネルを紹介するのに「つみれ」という表現を良くします。クネルファンとしてはこれに異議申し立てしたい。だって日本で食べるつみれはもっと弾力性があるし魚臭い。日本の鰯のつみれは軽めの赤ワインに良く合うが、リヨンのクネルは白、それもコート・デュ・ローヌかマコンの方が絶対にしっくり行くと思う。
クネルにはヴォライユというものもありこちらは家禽、つまり鶏肉が混ざっています。フランスの鶏肉のトップクラスを行くブレス鶏はブルゴーニュ産だけど地理的にはリヨンの方が近い。さすがに高級レストランに行かないとブレス鶏のヴォライユで作るクネルは出してませんが、ブッションなら普通の家禽のものがあります。こちらはフォレスティエール、(森風、つまりキノコソース)で頂きますが、こちらもなかなか美味しいです。
この料理はグラタン皿に大きく2本並んで出てきます。見るとかなり大きいので食べきれなさそうと思いますが、中はふわふわ殆ど空気かなと思うぐらいに軽いのでペロリと行ける。店によってはソーセージのようにちょっと硬めに見えるものもありますがそれでもやっぱりふんわりしています。リヨンは豚が特産らしくハム、ソーセージ系が多いところです。ソシソン・リヨネーズ(リヨン風ソーセージ)と言えばピスタチオが入っていてこれがまたコート・ド・リヨネーズというリヨン近郊で作られるワインに良く合う。豚足やモツ料理もお盛んですが、日本のそれとはかなりお味が違うので私にはイマイチですが。
クネルは料理以外にもチョコレート菓子としてもリヨン銘菓になっています。チョコレートはあまり好きでない私でもこれは食べます。つまりそれだけ美味しいということです。リヨンでお土産に迷ったらこれをお勧めします。特にVoisin社のクネルと姉妹品のクッションは美味しいだけでなく見た目も可愛い。これはパール・デューの駅構内でも、市内のお菓子屋さんでも買えます。これをもらってがっくりする人はいないでしょう。
クネルを食べるならこの2件:
Restaurant de Fourviere フルヴィエール聖堂のそば
住所:9,pl. de Fourviere
電話:04.78.25.21.15
Le Beaujolais ブッションが立ち並ぶレストラン街の一軒
住所:31 rue Merciere 690002 Lyon
電話:04.78.42.28.50
夢路とみこ