[291]個人旅行でも団体は団体

レストラン側にとって団体というのは有難くともそうでない場合もあるようで。ツアー団体だと定期的に一定の予算で来るから単価を下げても安定した利益になるから有難い客、しかし個人旅行の少人数団体となるとある意味ではやっかいなお客様とも取られるみたい。
ある日の異業種交流会、エクスパット・パリのイベントで食事会を企画。お店の方に「10名で食事したいんですけど」と申し込んだところ、先方からは「女性ばかりじゃ私ダイエット中なのと言ってかっぱ巻きだけ注文する人ばかりじゃないでしょうね」と冗談交じりの笑い声を聞きました。
私達はつとして「~してあげてる」という感覚を持ち易いですよね。皆で「食べに行ってあげている」とう感覚が。しかし、お店にとっては一人30ユーロの食事を10名で300ユーロにしても、2人で一人50ユーロ位の方が正直なところ有難いのです。10人だと長居するし、2人だと長居しても他のお客様が8名の席を埋めて回転さえてくれれば、300ユーロ以上の利益になります。材料の仕入れ、従業員の給料などを考えたらお金を落とさないリピーターや団体よりも、一元さんでも食事が気に入って口コミで宣伝してくれる個人客が好まれるのかもしれませんね。
これについてはショッピングについてもしかり、日本人買い物客はすぅ~と入ってきて、ボンジュールもなしにただ眺めて、触って、静かに消え去るのがつまり失礼な人という印象が残るようです。これに更に輪をかけてすごいのが団体。シャンゼリゼやオペラ界隈のブティークやデパートの中で「XXさん!こっちこっち、ほらこれよ」なんてフロアー中に響き渡る様な声を上げているのはツアー、個人共に複数で来ている人たち。高級ブティークの品が落ちる。
それは日本人スタッフを相手に値下げ交渉やサービスに対する不満をぶつけているひともあり、これも頂けませんね。以前にも「伝言者を撃つな」で説明したように、私たち現地スタッフに出来ることには限界があります。ロボットじゃないのでお客様とはいえども早々言いなりになる訳には行きません。サービスに対する報酬を貰って始めてその人はお客様になるのであって、聞くだけ聞いて品定めして去ってゆく人はまだお客様ではありません。お客様になってない人から「私はお客様なのよ」という威圧的な態度で来られてこちら側の反応が硬直し、返答が無味乾燥なのは仕方ない事なんですけど。
夢路とみこ

[262]シャンゼリゼでごはん(2)

パリにある和食屋の中でお客様の層が日本人よりも外国人が多いと、「ちょっとここはどうかな」と思わせる店が多い。しかし、シャンゼリゼにあるこの店、MEIJIはそんな私の中のジンクスを嬉しく裏切ってくれました。シャンゼリゼ大通りからMaison d’Alsaceというアルザス地方観光局とアルザスレストランの横を入るとそこはRue Marbeuf マルブフ通りになります。ここはファッショナブルなブティークが並びMEIJIの看板が見えます。看板の下から奥に入るといかにも西洋人が好きそうな小さな石庭があり、店の玄関をくぐるとヘ?と思うような広々とした店内に続きます。
パリの銀座、シャンゼリゼ界隈でこれだけのスペースを確保できたのは、ここが目抜き通りの大通りではなく、東銀座のようなちょっと離れたところにあるからでしょうか。でも、それにしてもこの店内の広さには驚くばかり。中に入るとお寿司カウンター席と串焼きカウンター席みたいなものがあり、それ以外はテーブル席。それぞれの一画が細かく仕切られているので小宴会には向いています。パーティ好きのフランス人には合うね。
メニューそのものはパリにあるお寿司屋のメニューとほぼ変わりなく、定番のお寿司におつまみなどの居酒屋風のものが並ぶ。お寿司の盛り合わせでは春夏秋冬と4つのコースがあり、私はここで1番贅沢な冬を注文。ここで他の店とはちょっと違う、私の目と舌を惹きつけるものが。白身魚と鮨飯の間に大葉が!フランスのハーブにはない大葉の香りが口のなかでひろがる。フランス人はこの味を理解できるのだろうか、きっと楽しんでもらえるはず。軍艦巻のかに足はシャキシャキ、でも、何よりも忘れがたいのは小さいエビフライが巻いてあるカリフォルニアロールの一点。パリのほかの店とは比べ物にならないくらいにサクサクしている。
このお店は板前さんのみ日本人のようで、サービス担当はほぼ外国人。店内の内装も西洋人好み。鮨バーという雰囲気。だからお客様の大半がほぼこの辺の人ばかり。ではなぜ、このエビフライに現れるように日本人好みのお寿司なんでしょうか。ビールだってそう。私の大好きな一番絞りなんてパリの和食のお店ではドライばかりなのに。値段もお寿司の盛り合わせ24ユーロ程度というのもフランス人が好む安さ。
MEIJI
24 RUE MARBEFU 75008
TEL 01 45 62 30 14
夢路とみこ
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