[112]銘醸街道城巡り(1)

古城に溢れるフランスですが、数だけならブルゴーニュが一番多いという事はご存知でしょうか?ロワール地方のようなフランスの庭園、ピレネー・オリエンタル地方のような武勇伝、プロヴァンス地方の吟遊詩人、トルバドュールが詠うような城とはちょっと違います。ではボルドー地方メドックなどに多く見られる華麗なシャトーワイナリーと尋ねられると、ちょっと違う。ボルドーの場合は葡萄栽培から出荷まで一貫して行えるワイナリーに対しても「シャトー」という名称がつくので時々「これがシャトー?」と言いたくなるような農家に出くわすこともありますが。。。。。。
ブルゴーニュにある城の特徴は、まず、フランス革命中かなり派手に破壊された傷跡が今でも残ります。館内に入るとそこだけタイムスリップしたような城がたくさん残っています。

ディジョンからバス20分程度(代金0.83ユーロ)で着くマルサネー村のシャトーは私のお気に入りスポットのひとつ。遊びに来た友人達をボーヌまで案内出来ないときはここ、気軽に行ける場所でそれなりの観光地だからです。葡萄畑の中に建つこのシャトーは城というよりもただのワイナリーですが、外観は格好のお写真スポット。館内では10ユーロでソムリエの案内のもとマルサネー村ワインの歴史の解説を聞きながらワインを試飲します。この村のロゼを始めとしてフィッサンなど日本ではまだ馴染みの薄いワインが味わえます。
日本にもファンの多いジュヴレイ・シャンベルタン村にシャトーがある事を私が知ったのは最近です。バスで30分(代金1.66ユーロ)バス停の傍にあり「シャトー」の標識を見ながらもすぐに気づかなかったのは、失礼ながらも廃墟のような外観のためでした。でもここは廃墟ではなく「時間が止まった」城でした。4.5ユーロの入館料で現オーナーが仏語と悠長な英語を交えて案内。見学の後はカーブでご自慢のワインを試飲。天気がよければ畑で試飲ということも。埃を被った家具や拷問の道具にも見えるような農具が散らばっているお化け屋敷みたいな城でしたが、天守閣から眺めたジュヴレイ・シャンベルタン村は私を益々ここのワインの虜にした。
郊外行きバスでは自転車をも積んでくれます。村までバスで行きチャリでの散策なんてこれからの季節には格好なのでは。
マルサネー村観光局
http://www.ot-marsannay.com
シャトー・ド・マルサネー
http://www.marsannay.com
ジュヴレイ・シャンベルタン村観光局
http://www.ot-gevreychambertin.fr/cadrea.htm
シャトー・ド・ジュヴレイシャンベルタン 03.80.51.84.85 
ディジョン自転車レンタル屋 Euro Bike 03.80.45.32.32

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[104]ソーヌとローヌの落とし子

リヨンを表した言葉にこんなのがありました。フランスを流れる4つの大河、セーヌ、ロワール、ガロンヌ、ローヌの中でローヌだけが男性名詞、ル・ローヌなのはやはり別名猛牛ならし、英語でRaising Bullと言われるほどによく氾濫を起こす荒くれ河だからだそうです。そんな荒くれな河に嫁いだ深窓の令嬢のようなソーヌ川はちょっと小生意気なでも愛くるしいリヨンという町を産み落としました。
地中海の水からなるローヌはとても青く流れも急です。一方アルプス山脈の雪解け水からならソーヌは緑が深く流れも穏やかです。リヨンから南に掛けて下ってゆくと途中この二つの川の合流地点があり、そこで水の色が二つにくっきり分かれているのが見えます。リヨンが三角州の上に立つ街であることが実感出来ます。
リヨンは横浜と姉妹都市というだけあってシルク貿易で栄えたという歴史があるせいかシルク製品の店も多くその伝統的な製法は今もカニュと呼ばれる機織職人たちに頑なに守られています。またリヨン芸術のひとつであるギニョールとという人形劇はフランスの各地で今もなお上映されています。リヨンにはギニョールを初めとした南仏のサントン人形の博物館もあり横浜の人形の家を思い出させます。

昔からこの街が商人の町でまた貿易により栄えていたということはリヨン中とも言える美しい窓ガラスだらけの家屋で良く分かります。中世の頃は窓税というのがあったらしく窓枠の数で税金を取っていたらしい。徴税人は建物の外から窓の数を数えて税金の額を決めていたようです。同じ窓税の歴史を持つディジョンでは窓の殆どを建物の中、中庭側に作り徴税人の目を盗んだようですが、貿易で潤っていたリヨンの商人たちはその権力と財力を誇示するためにわざと細かく窓枠を増やし、そしてそれらは全て外から見えるようにしていたとか。お陰で今日リヨンの外観を美しい窓たちが飾ります。夜になると住宅に明かりがつくのでとても綺麗です。リヨンが別名「光の街」と呼ばれるのもまったく納得。
パリに次いでの第二の都市リヨンは愛国心でもパリに次いだ歴史があり、ドイツ軍占領下時代にリヨンはパリ同様にレジスタンス活動の中心地として知られます。世界遺産に指定されている旧市街のトラブールを見学するとき、この迷路のような場所を逃げまくり抵抗したレジスタンス活動家たちを思います。彼らのお陰で今日のリヨンの美しさがあることに感謝します。
ローヌ郡観光局
http://www.rhonetourisme.com

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