[107]美食の里対決

フレンチガストロノミーの里と言えばすぐに挙がるのは我がブルゴーニュ地方、えっへん!それはロマネ・コンティに代表される銘醸街道のワインに始まり、モルヴァン山脈の麓に放牧される白い牛、高級食肉牛のシャロレーがその地位を更に高める。それ程知られてはいませんが、トリュフだって取れるんだから。それは去年11月日本のテレビでも紹介されました。丁度、帰国していて貴乃花関がブルゴーニュでトリュフ狩りをしているのを観ました。それにこの地方ではフォアグラだって作っています。エスカルゴはブルゴーニュだけだけですが。
私が尊敬する亡きロワゾー氏を筆頭にここにはミッシュランの星つきレストランが多いこと。この地方では星がなくても美味しいレストランはたくさんあります。それはフランスをあちらこちら旅行し食べ歩いているから断言出来ます。とにかくこの地方は食べることに事欠かない、食い倒れしたい人はここに来てください。

しかし、このブルゴーニュ地方のすぐ下、ローヌ地方のリヨンはディジョンのライバル。地名も似ているせいかあちらも負けてない。リヨンの美食で私がその脅威を感じるのが屋内市場(Halle de Lyon)、パール・デユー駅付近にあるそれ。ディジョンの屋内市場が食材の豊富さと新鮮さでストレート・パンチならば、あちらはお惣菜の見事さと有料試食スタンドや市場内のビストロでノックアウト。とにかくディジョンとリヨンの屋内市場が揃ったらそれは築地の場内外市場だ!お鮨やうまい定食を食べたいのなら築地の場外市場へ行けば良いように、リヨンのブッション料理を食べたいのならリヨンの屋内市場へ行けば良い。リヨンにはポット・リヨネーズと呼ばれる厚底のワインボトルがあり、結構これが見物です。ディジョンでブルゴーニュ料理を食べたいのならその辺のジモティのブラッスリーへどうぞ。わが町ディジョンは町自体が美食ですからだいたい美味しいです。
リヨンの屋内市場のお惣菜は見るだけで楽しい、見るだけでお腹一杯になります。お惣菜と言えども盛るべき皿に盛ればきちんとしたオードブルになるから馬鹿に出来ない。リヨンのブッション料理で修行して星を取るシェフは多いと聞く。星を取るまではリヨンで、取ったらブルゴーニュでと美味しい関係が見えて来ます。この美食の里対決、判決は如何なる事に。
リヨンの屋内市場住所 102, cours Lafayette
市場内にある私のお勧めブッション料理の店はここ
Chez Les Gones シェ・レ・ゴーヌ
電話:04-78-60-91-61 7a.m.から3p.m.まで 月曜休

夢路とみこ

[106]つみれ、はんぺん?

リヨンを代表する郷土料理のひとつにクネルがあります。これはブロシェットと呼ばれる川カマスのすり身に小麦粉や卵白を混ぜて蒸したものです。それをナンチュアソースと呼ばれる甲殻類、つまり海老とか貝などの出汁で作ったオレンジ色のソースを掛けて食べます。ガイドブックではこのクネルを紹介するのに「つみれ」という表現を良くします。クネルファンとしてはこれに異議申し立てしたい。だって日本で食べるつみれはもっと弾力性があるし魚臭い。日本の鰯のつみれは軽めの赤ワインに良く合うが、リヨンのクネルは白、それもコート・デュ・ローヌかマコンの方が絶対にしっくり行くと思う。
クネルにはヴォライユというものもありこちらは家禽、つまり鶏肉が混ざっています。フランスの鶏肉のトップクラスを行くブレス鶏はブルゴーニュ産だけど地理的にはリヨンの方が近い。さすがに高級レストランに行かないとブレス鶏のヴォライユで作るクネルは出してませんが、ブッションなら普通の家禽のものがあります。こちらはフォレスティエール、(森風、つまりキノコソース)で頂きますが、こちらもなかなか美味しいです。

この料理はグラタン皿に大きく2本並んで出てきます。見るとかなり大きいので食べきれなさそうと思いますが、中はふわふわ殆ど空気かなと思うぐらいに軽いのでペロリと行ける。店によってはソーセージのようにちょっと硬めに見えるものもありますがそれでもやっぱりふんわりしています。リヨンは豚が特産らしくハム、ソーセージ系が多いところです。ソシソン・リヨネーズ(リヨン風ソーセージ)と言えばピスタチオが入っていてこれがまたコート・ド・リヨネーズというリヨン近郊で作られるワインに良く合う。豚足やモツ料理もお盛んですが、日本のそれとはかなりお味が違うので私にはイマイチですが。
クネルは料理以外にもチョコレート菓子としてもリヨン銘菓になっています。チョコレートはあまり好きでない私でもこれは食べます。つまりそれだけ美味しいということです。リヨンでお土産に迷ったらこれをお勧めします。特にVoisin社のクネルと姉妹品のクッションは美味しいだけでなく見た目も可愛い。これはパール・デューの駅構内でも、市内のお菓子屋さんでも買えます。これをもらってがっくりする人はいないでしょう。
クネルを食べるならこの2件:
Restaurant de Fourviere フルヴィエール聖堂のそば
住所:9,pl. de Fourviere
電話:04.78.25.21.15
Le Beaujolais  ブッションが立ち並ぶレストラン街の一軒
住所:31 rue Merciere 690002 Lyon
電話:04.78.42.28.50

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