私がディジョンを出て早くも2年半近くが経ち、その間に何度もこの町を訪れてますが変化があったりなかったりと、それに一喜一憂しています。悲しく思うのはディジョンらしい店がパリでも見かけるような店になってしまったこと。この店、ル・ジェミナルは私がディジョンに移ってきたばかりの頃、同じ語学学校で勉強していたソムリエールの峰子さんから最初に案内してもらったうちの一軒。さすがソムリエールだけあってどんな料理でもワインとの組み合わせを考えられるもんなんだと関心させられた思い出が。
朝市でもスーパーでも買えるこのかえるさんたちは、エスカルゴ同様になぜかしら魚屋さんに売っている。かえるの味は鶏のささ身に似ているから肉屋のような気がするんだけど、魚屋。だからワインもやっぱり白かロゼと教えてくれたのは上記の峰子さん。この店のワインリストには南仏のロゼもあるけれど、やっぱりこの町に来たのだからブルゴーニュのロゼ、マルサネーのロゼを注文したい。私たちはこのロゼと赤はやっぱりブルゴーニュにしかない、パストゥグランを注文。単にかえる料理を食べるなら中華料理にもあるし、中華ならロゼでも南仏はローヌのタヴェルやプロヴァンスのロゼになるでしょう。でもここはディジョン、やっぱりブルゴーニュ尽くしと行きたい。
かえるは魚扱いだから付け合せもやっぱり魚料理と同じでライスでした。そしてここは昔から日本語メニューがあるんです。
かえる以外でメンバーが喜んだのは塩味のフロマージュ・ブラン簡単に言うとこれはバターとヨーグルトの中間みたいなもので、バターほどに脂肪がなく、脂肪をさらに採るとヨーグルトになってしまうというもの。味はヨーグルト、でも濃厚さはバターに近い
パリでこれを注文するとだいたいがフランボワーズなどの赤い木の実のソースか蜂蜜が出て、甘くして食べる。でもブルゴーニュでは大半の店が塩味か甘み味かを聞いてくれる。もちろん私はいつも塩味、つまり、エシャロット、シブレット、ガーリックのみじん切りがそれぞれ小皿に盛られてくる方を注文します。だってチーズだもん、ワインのお供は塩味よ!
ル・ジェミナルのサイト
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[279]ステーキタルタル(3)
ミッシュランの星がつく理由の一つに、わざわざ車を飛ばしてそこまで出かける価値があるからというのが基準にあるらしいのですが、それから考えるとこの店でステーキタルタルを食べるには、地下鉄とバスを乗り次いで、店がある敷地の中に入るのに3ユーロの入場料を払ってやっと席につける、となると、ここのこれはミッシュラン並に贅沢かもしれません。でも、この素晴らしい屋外レストランで頂くステーキタルタル18ユーロはそうしてまで来る価値があると私は思っています。もちろんこれからの季節のみの話ですけどね。
ステーキタルタルの美味しさの決め手は、誰がそれを作るかによります。腕力があって混ぜ混ぜに自身のある人ならシェフは不要でしょうけど、私は専らシェフがやってくれるかどうかを確認してから注文します。シェフが作ってくれる、ここで美味しさの7割は決まったもん。残りの2割はお肉が上質で、またそれはきちんと挽いてあるかどうかですね。挽き肉機にかけただけの、ミミズがたくさんいるような模様が見えるようではダメ、やっぱり更に細かく挽いてそれをスパイスや玉ねぎなどで上手く、あのミミズ模様が見えなくなるまでに原型を無くさないと。そして最後の1割はこのステーキタルタルをどのワインで頂くかによると思いますね。
私はステーキタルタルを注文するときに、ボージョレの10のクリュ(特級畑)のものを注文します。ボルドーやブルゴーニュではしっかりだし、コート・デュ・ローヌだとあまり平凡すぎる。赤でさっぱりしながらも深みがあるものとすると、やっぱりモルゴンやコート・ド・ブイイのようなボージョレでも上級のワインを選択するのが好きですね。
この店は、ブローニュの森にあるバガテル庭園の中にあるテラス・レストランです。バガテルと言えば薔薇園が有名で、つい最近も国際薔薇コンクールが開かれたばかり。園内の温室では夏になるとショパンのピアノコンクールを始めとして音楽イベントが盛りだくさん。今年は日仏友好条約締結150周年を記念した行事がフランス各地であり、この8月中旬まで「kimono」展が開催されています。結婚式の披露宴もこのレストランではよく見かけます。ステーキタルタルだけのために来る価値ある場所です。
バガテル庭園を紹介しているブログはこちらです
http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/39993138.html
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