その昔フランシュ・コンテ地方はこのブルゴーニュ地方、つまりブルゴーニュ大公領土のひとつだったそうな。ブルゴーニュ家最後の公女、マリーが時の神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアンと結婚してこの領地もドイツになったけど、ブルゴーニュ家が廃れてルイ14世に乗っ取られた時にフランシュ・コンテも同時にルイちゃんのものになってしまったとな。マキシくんの時はフランシュ(自由領土)だったのにきかん坊のルイになったらぎゅうぎゅうと締められた。中央集権の君だから全て範疇に治めたし。
当時の首都ドールの市民はルイの勢力に楯突いた。フランス人お得意のストライキ。怒り狂ったルイは暴動鎮圧あとには見せしめのために首都をドールからブザンソンへ遷都。お抱えの建築家ヴォーバンに巨大な忍者屋敷みたいな要塞を山の上に建てさせた。さすが太陽王ルイ14世だけあって皆が見上げるような所にとてつもないものを建てた物よ。ブルドーザーやクレーン車のない時代にあっぱれだわ。彼の要塞はフランス各地にあるけれどいずれにせよ、その自由で画期的な発想がすごい。彼のような人が今日いたら大手企業にひっぱりだこか、市場を独占するような大企業家になっていたかも。
[082]ジュラワインの本拠地
その独特の味(シェリーともウイスキーとも取れる)からのせいか、日本ではあまり馴染みのないヴァンジョーヌ、黄色いワイン。このワインを代表とするジュラワインの中心地アルボワはブルゴーニュワインの中心地、ボーヌに匹敵する位に町中にワイン関係の店が続き試飲出来るカーブも多々とあり。
ボーヌの場合はプチトランがあってそれに乗れば城壁の外にある葡萄畑を見れるけれど、ここではプチトランもなければ畑もそう近くない。中心のリベルテ広場からGrand Rue沿いに歩けば山肌に栽培されている葡萄畑が見えてちょっとしたパノラマ。
アルボア駅は無人だし、駅付近にも民家が数件(でも花で飾られていてとても綺麗)。だからこんなところがジュラワインの中心地かなと意気消沈するのはまだ早い。Centre Villeの看板を見ながら徒歩15分で町の中心地。途中、パスツールの家を通ります。ワクチンを作った名医の血液学者の彼は葡萄が腐り御酢になるのを防ぐ醸造方を考え出したワインにとっても名医。彼が生まれたのは同じフランシュ・コンテ地方のドール、でも育ったのはこのアルボア。彼はきっとジュラワインの一番の愛飲家で理解者だったのでしょう。