[229]日本の技術は世界の驚異

パリで家具や室内装飾をテーマとした大きな展示会があり通訳として派遣された。私が担当したのは高知県の間伐材木を使用して、特殊な技術と加工を施したバッグを中心としたアーティストの作品。ここで仕事をするまで、日本が木の文化だという事に全く気づかないでいた。いつもアジア=竹のイメージだから、日本も竹だ!と勝手に思っていた。でも、日本は東南アジアに比べるとその湿度は少ないから竹じゃない。中国の政策を「竹のカーテン」と呼ぶから、かぐや姫も竹だから、だからと言い訳を。
この機会を通じて日本が木の文化であることを知るとともに、海外から見た日本のイメージはきちんと進化している、現在の日本を知っている人は知っている、もう、ゲイシャ、フジヤマなんて古臭いことを言うのは時代遅れである、ということを確認出来た機会でもありました。
それにしても、日本の技術はすごい。展示していた作品の中に、製作者のアーティストが「モナ王」と呼ぶ最中の形をした変わったテーブルに人々の関心が寄せられた。芸術に疎い私にしてみれば「変なテーブル」でも、その価値が分かる人にしてみれば究極のデザイン。みんな触る触る、ためらいながら、はにかみながら、見ていて面白い。
来客は量販店から小売店のバイヤーを中心に、同業者であるデザイン関係の人や建築家、週末も挟んでいたので一般客も来ましたが、その反応は手ごたえあり。作者であるデザイナーが自ら出向いて接客したことも大きいのでしょうが、彼の持つ技術が驚異だったのでしょう。
語学もそうですが、私たちはいつも外にばかり目を向けていて、灯台元暮らしになっていませんか。外国語を学ぶことに熱心すぎて、国語がおろそかになりつつあるのは私だけでないはず。海外ブランドばかり追いかけてジャパンブランドの素晴らしさを見落としている資本家は日本にごろごろいるのでは。
接客で色々な国のデザイナーや技術者、バイヤーと話しているうちに「ジャパンブランド」の底力を感じました。海外のバイヤーは知っている、日本の海外ブランドのバイヤーと同じくらい鋭い感覚で。知らないのは海外在住で日本の情報が疎い私や、海外流行に翻弄される人かもしれない。
自らの才能に甘んずることなく、いつも目は外へそして高く向いていた、そんな日本人に会えた貴重な時間でした。
日本の驚異、ここのサイトでご覧下さい
http://www.t-shima.com/
夢路とみこ