[095]食事マナーに目が白黒

フランス料理が高いというのは使う素材が高価なもの、合わせるワインが高価な物と色々な食そのものに帰する要因がありますが、食材と同じ位に高くつくのがサービスの値段。サービスを提供しチップとして報酬をもらう事もある私もそのサービスを向上させる目的で食に関する知識の向上のため夜間講座に入校。
この食のセミナーは理論でフランス料理を学習するものだからワインセミナーや料理教室のような試飲,試食が無く私も背筋を伸ばしてまじめに受講。同じクラスの仲間はこの講座を開講しているホテルスクールの学生が中心で、一部私のような社会人で趣味、叉はレストランやホテルの従業員でスキルアップのために来ている人もいます。開講が夜の8時から、そして90分ということもあり、スライドでおいしそうな料理を見る度にお腹がグクーと鳴いている。そしてまじめに料理やその盛り付け、テーブルコーディネートについての理論を聞く。見るだけとは拷問だ。

日本では居酒屋と立ち食い蕎麦屋が大好きでそれが一番恋しいと思う私が抱く「料理は美味しければ何でもいいじゃん」的な概念はこの国では許されないらしい。講師の言葉を借りると、「料理は数ある芸術の中でも人間の五感が同時に働く唯一の芸術である」だそうです。すごいこの国では料理が文明や文化の域に達していてミッシュラン3つ星のシェフが人間国宝みたいに扱われる理由が良く分かる。
所変われば慣習も変わり、食に関するマナーでいつも気になるのが食事中の手の置きどころ。私は子供の頃から食事中に手はお茶碗を持つ、皿を押さえて食べるように躾られました。米国ではナイフで切り終わったら片手は膝の上に、フォークだけで食べる様にとマナー教室で教わりました。あちらでは片手はテーブルの下、両手が上がっているのははしたない。フランスでは両手がテーブルの上、片手を下にするのがはしたない、両国とも日本のように茶碗を口元に近づけて食べるのをはしたないという。
この3カ国の慣習の違いに私はいつも目を白黒させています。米国では手がテーブルにあるのは指が手持ち無沙汰で色々触るのが良くないと言い、この国では中世の名残、その頃は手に凶器を隠し持って暗殺の機会を待っていた事も多々とあったので身の潔白を示すために両手をテーブルに置いていた事が今日に至るらしい。
いずれにせよ、口からポロポロこぼれ落ちるのが嫌だから椀物を持ち上げる私を白目で見るのは止めて欲しい。

夢路とみこ

[074]トゥールで出会う芸術

素晴らしい芸術作品や珍しいものはパリよりも地方の美術館などの方が多く名作との意外な出会いを求めるなら田舎へ行けというのは本当だと思う。これはブランド品を探すのにも共通するらしい。シャンゼリゼで何時間も行列するよりも地方都市のブティークの方が在庫がたくさんあるようです。
トゥールはパリからTGVで約1時間強。ここは世界でも珍しい芸術品に出会える。わざわざ足を伸ばしてパリから一歩出たフランス芸術観光の価値は大いにあり。
その一つはMusee du Compagnonnage職人の組合博物館。TGVやコンコルド、原発を持つこの国は、ハイテク産業の先端を行く一方でミッシュラン3つ星を獲得するために何年もの修行があったり、人の生き方さえも変えてしまうような素晴らしいワインを造る樽には樽職人の腕次第とデジタルなのかアナログなのかわからない、上手くミックスした国です。それがフランス人の頑固さを作るのでしょうか。頑固とこだわりの職人芸を見るのならこの博物館へ。フランス人ってこんなに器用なんだ、彼らは何事においてもエレガンスとアートを忘れないんだと関心します。

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