競争社会且つ完璧さを求める日本の企業社会を抜け出して、のんびりのほほーんと葡萄畑を眺めて暮らしていると何事にも寛容になるのか少し気が緩んでいる気がします。仏語のTant pis(トンピー:仕方ない)という言葉はこちらの会社に来て最初に覚えました。すぐ覚える位に同僚が毎日連発します。
フランス人はワインをたくさん飲むから心臓病が少ない、血が綺麗と言いますが、本当は全ての事をこのトンピーなる言葉で許しているから心臓に負担が及ばないのではないかと私は納得しています。
こちらに着いてすぐの頃、日本の会社に¥168,000の送金を会計係に依頼したところ、受け取り先から2,3日後に「電信送金を有難うございました。しかし¥168しか入金されていません。」とメールが。確かに入金先銀行口座と金額¥168,000を紙に書いて渡したのに何故?
フランスではカンマと小数点が日本とは反対なのです。¥168,000は、¥168.000,00と書かないと分らないのです。担当者に「20F弱を電信送金料500F近く払って送金するって変だと思わなかったの?」と尋ねてみたら銀行は何も言わなかったわよ。とあっけらかん。そりゃそうだ、¥168の送金で為替や電信送金の手数料が稼げるんだもの黙って送金するわ。しかし同僚は詫びる事無く「トンピー」と一言。
別の同僚が私の休暇帰国に付き合って日本に遊びに行きたいと言う。英国以外の外国へ行った事がない、飛行機なんて30分以上乗った事がないから私のOKにはとても喜びすぐに旅行代理店へ。