[065a]オイカワ
オイカワという魚がいる。そこらの川にいるポピュラーな川魚だ。関東ではヤマベという。関西ではハエという。北海道では、ハイといい、ヤマベというとヤマメのことをいう。また関東ではハヤというとこれはウグイのことをいう。何ともややこしい。まぁ、ハイもハエもハヤもコイ科の魚であり大差はない。ヤマメだけはサケ科の魚でこれは全く違う魚だ。
川魚というのは臭みがあり食べるにはちょっと工夫が必要。オイカワもご多分にもれず臭みがある。ところが寒ハエといって、秋から冬にかけて餌をとらなくなったオイカワは脂ものり別な魚と間違うくらいに美味な魚となる。また川の魚は一般的に体が小さい割りには骨が固いものだが、ハエは骨が柔らかく、から揚げなどにして食べることができる。
ハエは泳ぎがうまくちょっとやそっとでは捕まえる事ができない。鷺は川魚を捕食する名人だけど、その鷺でさえ捕まえるのが難しいハエを別名「鷺しらず」という。ハエをさっと煮たものが京都では加茂川の名物土産として売られている。
ハエの料理では番茶煮もオーソドックス。これは獲ったハエを寒干しにし、それを更に番茶で煮たものだ。このハエの番茶煮は特別の材料が必要なわけでもなく、手近に手に入るハエと番茶で作る日常のおかずとして、長く親しまれてきた。骨ごと食べることができるので、カルシウムの摂取などに大変重宝する。
身近な川魚は身近な蛋白源、カルシウム源として昔から親しまれてきたのである。