[073]番茶、番傘、お番菜

番茶とは、一番茶を摘んだ後に残る堅い葉と茎を使ったお茶で、一番茶より品質の落ちるお茶という意味。お客に出すのは一番茶を使い、普段常用するのはこの番茶である。番茶であっても、蒸しや煎りに手を加えて良質にしたものもあり、京番茶などは高級品であり味香りとも侮れない。

番傘とは商店や旅館の置き傘の事である。お客に貸出し、紛失を防ぐ意味で傘に「イロハ」の「何番」と番号を振ったのが始まり。貸出し用であるから安物である。普段使うので番傘。また番傘は、傘をさして主人にお供する時に周りから見て主従がわかるように模様がある。主人は豪華な蛇の目傘をさし、下僕は番傘をさす。

お番菜(ばんざい)は、京都周辺で使う「おかず」の事。関東でいう「お惣菜」のことである。毎日の食卓に上がる「質素で粗末なもの」という意味。しかし、現在では鯛や海老などの豪華なものもおばんざいと呼ぶらしい。

このように前に「番」とつけるのは「普段使う」、「質素」という意味があるこれまた日本の文化と言えましょう。