[201]運輸省
クルマにかかわる省庁といえば、運輸省と通産省。
例えばアメリカ車を輸入して国内で走らそうと思ったら、この2省を避けて通ることは出来ない。
貿易摩擦というのがある。アメリカはアメリカの車を日本に売りたい。通産省もこれを受けて、日本でアメリカ車が売れるように努力する(というよりせざるを得ない)。ところが、日本には運輸省というものがあり、そこには車検という制度があり、それを通過した車でないと道路は走っちゃいかんと言われるのである。これを聞いたアメリカは怒る。通産省はハラハラするけど、運輸省はのんびりしたもの。当然輸入したままのアメリカ車は日本の道路を走ることは出来ない。そこで車検を取ることになる。
今でこそ車検はかなり緩和されたが、1970年頃にアメリカ車を輸入した場合非常に厳しい車検を通過しなければならなかった。例えばドアミラー。今でこそドアミラーが主流でフェンダーミラーを選ぶにはお金を払わなければならないが、当時はクルマは「フェンダーミラーでなければならない」のだ。しょうがないから、ドアミラーをはずし、プラスチックでできた簡単なミラーをフェンダーに「両面テープ」でつける。
方向指示灯。俗に言うウインカーである。これは「黄色」でなければならない。ところがアメリカ車は赤色なのである。しょうがないので、トラックにつけるような黄色のランプを買ってきて、バンパーに穴をあけ、そこにネジ止めする。配線は内部からひっぱるのだが、黄色ランプ周辺は線が露出されている。なんともかっこ悪いがこうしないと車検がとおらない。
という具合に、色々工夫して、車検を通すわけだが、いったん車検がとおれば、今言ったようなものはすべてオリジナルに戻して道路を走る。まったく何のための車検かわからないが、それが制度というものである。
当時は、そういうわけで通産省より運輸省のほうがハバをきかせていた。今はどうかというと、景気対策や外交の問題が急務となり運輸省より通産省のほうが発言力がある。これは省庁の大臣の上下関係もあると思うけれど。
[2010.08.01追記]
運輸省は2001年1月6日、中央省庁再編の実施に伴い建設省、国土庁、北海道開発庁と統合して「国土交通省」となりました。
また通商産業省(通産省)は同再編により廃止、経済産業省が後継機関として発足しました。