[250]魚つき保安林
自然の環境を保護するために、林野庁では保安林という制度を設け、森を守っています。森はその森の周りだけではなく、森を流れる川に影響し、川は海に流れお互い影響しあっているんですね。特に日本のように傾斜がきつい国土の場合、土砂が流されやすくその分森の役割は大きいといえます。
魚つき保安林というのは海岸線や河川、湖沼の周辺で、魚類の棲息と繁殖を助けることを目的に指定された保安林です。森林の陰が水面に投影され、直射日光をふせぎ魚にとって暗く静かな環境が作られます。その魚の餌になるプランクトンが、森から供給される有機物等により増殖が図られます。また降雨時は土砂の流出を防ぎ、水質の汚濁を防止する役割もあります。
保安林は立ち入ることは出来ますが、保安林内での立木や竹の伐採、家畜の放牧はもとより、下草、落葉及び落枝の採取も制限されます。土石・樹根の採掘・開墾、その他の土地の形質の変更も知事の許可が必要です。
先日、真鶴半島の魚つき保安林を見てきましたが、うっそうとした森がその影を海面に投げかけ、ちょうどその影にあたる部分に定置網が仕掛けられています。ここで獲れる魚は種類が多く、漁獲量も豊富だとか。半島内を散策すれば民宿はいずれも海の幸を食事として提供しています。まさに海に生かされている町でした。その町に住む住民の生活を守っているのが森というわけです。
海の自然を守るには、海だけ見ていてはダメなんですね。陸地にも目を向けないと。