[262]干潟(ひがた)
千葉の臨海新都心では幕張メッセなどを中心とし巨大な施設が並んでいますが、このあたり昔は潮干狩りの格好の場所でした。春になれば、学校行事で恒例の潮干狩り。総武線稲毛海岸駅を下りるとそこはすぐに干潟が広がり、掘ればすぐにアサリが採れたものです。今は総武線から海は見えますが、干潟は遠く潮干狩りはちょっと無理ですね。
干潟は海と陸を繋ぐ接点です。干潟にはいろいろな生物が住み、陸の老廃物は川の水となって流れてくるきます。干潟はその川の水に含まれる有機物を分解し、きれいにして海に戻す役割を担っています。つまり干潟は地球の浄化槽なのです。
河口の水は大量の有機物を含んでいます。これがこのまま海に流れ込んでは海は汚れてしまいます。そこで干潟の出番。干潟に住むプランクトンは窒素やリンなどの栄養素を食べます。そのプランクトンをアサリが食べ、そのフンをゴカイやカニの幼生が食べ、それらは生まれたばかりの稚魚の餌になる。川の水はこうした食物連鎖によって浄化され、海の深いところへ戻っていきます。
干拓、あるいは埋め立ててしまって干潟がなくなると、こういった浄化作用が無くなり、また生命の誕生の場が無くなり、海は段々汚れていきます。というより生命の無い海になっていってしまうのです。干潟をゴミの埋立地や工業用地にするために埋め立てすることは、私たちの巨大な生命源を絶ってしまうことですので、干拓が必要な場合でも計画的な行動が望まれます。
ちなみに人工干潟や人工海岸などは、自然に出来たものではないですから、生物が住みつかなかったり、波の力でもとに戻されてしまったり、なかなか思うようにはいかないようです。そういう場所を新しく作る労力をかけるなら、最初から壊さないほうがよっぽど無理が無いんですけどね。