[345]失火責任(2)
異常乾燥注意報が出る昨今、火事が多くなっているようです。火の元には十分気をつけていただきたいと思います。
さて、火事には原因があるわけで、その原因は失火か放火の2つしかありません。放火は重大な犯罪で特に他人の住居や建造物に放火したときは死刑もしくは無期懲役と、ほとんど殺人罪に等しい罰が用意されています。
ところが失火となると、重大な過失を除きその責任は免除されます。これは「失火ノ責任ニ関スル法律」という明治32年に制定された古い法律に決められています。これは失火という過失で延焼を招いてしまった場合、その責任を取らせると延焼面積によっては莫大な金額になります。しかも、自分の家も財産も燃えてしまった場合はその損害を賠償しようとしてもできるわけありません。そのような状況を鑑みて制定されたのが「失火ノ責任ニ関スル法律」です。この法律は1条しかありません。
『民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス』
ただし、失火であっても重大な過失責任があるときは刑法の適用があるので十分注意しましょう。
「失火ノ責任ニ関スル法律」によると通常の火事の場合は、貰い損ということになります。したがって火災保険は必須です。自分で火事を出してしまった時も、火事を隣からもらってしまった時も火災保険は大いに味方になってくれます。
また、失火してしまった時には他人の家への延焼は損害賠償責任は無いとはいえ知らん顔はできません。そんなときにも火災保険は失火見舞金を出してくれるものもあります。
また、アパートなどを借りている場合は失火してしまうと、大屋さんには現状復帰の義務がありますのでその分についての損害を賠償しなければなりません。そんなときに備える借家人保険に入っておくことも必要でしょう。