[501]鉄と鋼

鉄という物質は地球上でも大変多い物質ですが、宇宙的にみても最も多い元素であるといわれています。宇宙のどこかに鉄をたたいて刀を作っている生物がいるかもしれません。以前私たちは炭素型生物だというような話をしましたが、ひょっとすると鉄でできた宇宙人がいるかもしれません。

さて、一口に鉄といっても、自然界に存在する鉄は酸素を取り込んで酸化している状態で安定しています。純鉄は自然界では存在しません。もっとも純鉄は人工的に作ることはでき、純度を上げると今度は逆に安定して酸化しないということです(不思議です)

酸化鉄は高熱で溶解すると酸素を離して炭素を取り込みます。これを還元といいますが、このようにして取り出した鋼を加工して色々な製品に姿を変えます。つまり普段お世話になっているのは「鉄」ではなく「鋼」というわけ。

この溶解してできた鋼には色々なものが含まれていますが、炭素を多く含むと硬くなりますがもろくなります。逆に炭素を含まないと軟鉄となり粘りが出ます。このような性質を利用して色々な用途に合った鋼を作るのです。ちなみにクロムを多く含みますと錆びにくくなります。これがステンレス鋼です。

なお日本の伝統工芸として「日本刀」があげられますが、これは花崗岩が風化してできた上質の砂鉄を上質の木炭で熱することにより、上質のヤスキハガネができることによって生れたものです。まさに日本でしか生れ得ない日本の風土が生んだ日本刀ということができます。

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