[510]鈴木氏

名字の話です。

私はながらく「苗字」を使っていましたが、どうやら「名字」の方が正しいようです。というのも、姓というのは昔は金持ち、貴族、豪族の特権でありました。それが名主であり、その名主の姓を「名字」といったそうなのです。ちなみに名主でも特に力のある名主を「大名」といいます。なるほど。

さて、日本で一番多い姓は「佐藤」さん。しかし東京を中心とする関東では「鈴木」さんが一番多い。ちなみに全国第三位は「高橋」さん。

「鈴木」とは稲穂を積み重ねたところに木を刺し、それを「鈴木」といったという説や、稲穂を重ねたものを「スズキ」と呼んだ説などがありますが、いずれにしても系統としては三重県東紀州熊野発祥で、物部氏の系列だとされます。紀伊半島の南東部に位置する熊野は、わが国でも最も早くから開かれた地域で、古事記や日本書紀に数々の神話の舞台として登場した場所です。

鈴木姓はその熊野神社の神官として仕えるものの姓として熊野信仰と共に全国に広まっています。つまり神主さんの系列なんですね。神社も勧進活動の一環として全国に広める必要があり、その役割担ったのが鈴木さんというわけです。

三重熊野の発祥ですが、その後三河の徳川と縁を結び、大きく勢力を伸ばしました。そして徳川の江戸開幕にともない、江戸に大挙移住しました。東京に鈴木さんが多いのは、そういうわけなんです。

さて、由緒ある鈴木さんですが、現在の鈴木さんは全て神職の系列であるとはいえません。明治になって姓が名乗れるようになったときに、皆こぞって由緒あるカッコイイ姓である「鈴木」を付けたのはこれまた人情。というわけで、「由緒正しくない?鈴木」さんも多いという訳です。

「鈴木」さんの家紋ですが「結び付き抱き稲」「神宮弊」「対二つ藤」「烏」「太輪に一つ鈴」などがありますが、「烏(からす)」紋が由緒正しい鈴木の紋とされています。

全国の鈴木さん、お宅の家紋はいかがでしょうか?

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