[546]ネズミモチ
植物ネタが続きます。今日はネズミモチの話。
ネズミモチは漢字で「鼠糯」と書きます。これほど地味は庭木は無いといわれるくらい何の変哲の無い樹木です。ですが名前はよく聞きます。高速道路の中央分離帯によく使われており、名札がぶら下がっているので、見たことのある人も多いのではないでしょうか。
ネズミモチはモクセイ科の植物で、丈夫で日陰でもよく育ち、冬でも葉を落とさないので庭木としては優れているのですが、花が特にきれいでもなく、紅葉もしないのであまり人気がありません。庭の北側や、防火用の生け垣などに使われているくらいなものです。
6月に細かい花をつけ、秋には米粒よりちょっと大きい実をつけます。ネズミモチという名前は、葉がモチノキに似ていることと、果実がネズミの糞に似ていることから付けられたとされます。
この果実には実は薬効があり、女貞子(にょていし)という立派な生薬名がついています。強壮作用があり、酒に漬け込んだりして使用します。果実は野鳥のえさになるので庭に植えておくと鳥を呼ぶことが出来ます。
ネズミモチは葉を折って匂いをかぐと、そのイメージとは違ったすがすがしい青リンゴの香りがします。ご自分の庭に地味な紫色の小さな実のなる庭木があったら葉を折って臭いを嗅いでみてください。青リンゴの匂いがしたら、ネズミモチです。
ちなみに、ネズミモチの語源となるモチノキは、昔は鳥を捕獲するために使ったトリモチを採る為に使われたのでモチノキという名がついたのです。樹皮からトリモチが採れます。