[580]冬のお菓子、夏のお菓子

小学校に行っていた頃、社会科で工場見学というものがありました。たいていはいすゞのトラック工場か森永のチョコレート工場。私の学年はチョコレート工場だったように記憶しています。で、工場見学です。当時の森永のチョコレート工場は冬はチョコレート、夏はアイスクリームを作っていました。季節によって工場を使い分けていたんですね。

今でこそチョコレートもアイスクリームもいつでも食べられるものですが昔は季節性の強い食べ物でした。アイスクリームは夏のもので、アイスキャンデー屋さんが暑い昼下がりに売り歩いていたものです。ソフトクリームに至っては駅前の不二家に行かないと食べられません。不二家にはシャーベットなるものもあってドライアイスも置いてあり家に持ち帰る事もできました。今考えるとすごい企業努力だったと思います。

冬になるとチョコレートです。アイスクリームは売っていません。チョコレートは夏にも売っていますが、溶けてしまうので注意しなければなりません。ということでチョコレートは冬のお菓子だったわけです。

2月14日のバレンタインデーにチョコレートを贈ろう、という魂胆は意外とチョコレートを寒いうちに拡販しようと頭を悩ます営業担当者の苦肉策であったかもしれません。

さてチョコレートですが、カカオ豆をカカオマスにし攪拌熟成して練り上げ固めたものが「食べるチョコレート」です。それまで飲み物だったチョコレートが保存のきく「固形のお菓子」になった点でこれは発明といえるべきものでしょう。

そのチョコレートにミルクを加えたものがミルクチョコレート。発祥の地はスイスとされています。スイスのミルクチョコレートのおいしさの秘密はもちろん、空気の澄んだアルプスの山々で育った牛の新鮮なミルクと、厳選されたカカオにあります。妥協を許さないスイス気質によって最高品質の材料のみを使用したチョコレートは一流品です。

スイスレシピの有名なものには、ネスレー、ファヴァルジェール、カナダのレネレイ・スイスチョコレートがあります。レネレイはスイス生まれ、1957年からチョコレート業界で経験を積んでカナダで創業しました。作り方はもちろん原料に至るまで厳選されたスイスのものを使っているという事です。

ネスレーは日本ではインスタントコーヒーが有名ですが、イタリア産のブラックチョコレートに濃厚なミルクを加えたミルクチョコレートを発明し、急成長した企業です。(昔はネッスルと英語読みしていました)

ちなみにホワイトチョコレートはカカオマスからとれるカカオバターを主原料に作られたものです。カカオ成分を含まないので、チョコレート独特の色香りがありませんがれっきとしたチョコレートです。

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