[663]フロンガス
松下電器では大々的にノンフロン冷蔵庫を宣伝しています。一方でカーエアコンに使われている冷媒のフロンについて「フロン回収・破壊法」が平成14年10月1日より施行されています。
これはオゾン層破壊や強力な地球温暖化の原因とされるフロンガスの大気中への放出を抑制し、クルマのオーナーにフロン類の回収・破壊を義務付けたもので、10月1日以降オーナーはカーエアコンのついているクルマを廃車するときに、「自動車フロン券」を購入し、引取り業者にクルマと一緒にわたさなければならないことになります。
フロンガスはオゾン層を破壊し紫外線による被害を増加させます。またフロンガスは地球温暖化の原因となる二酸化炭素の数千倍もの強力な温暖化物質なのです。現時点ではフロンの代わりになる冷媒をすべてのカーエアコンに使うに至っておらず、暫定的にフロン券という方策が法令化されたというわけです。
フロンガスは自然界には存在しない人工の気体で、安価で製造できしかも取り扱いが楽で、冷媒に最適ということでここ20年くらいでかなり普及したガスです。
しかし、その後このフロンガスは地球を取り巻くオゾン層を破壊することがわかりました。空気中に排出されたフロンガスはゆっくりと上昇していき、オゾン層のある高度まで達すると、宇宙からの強い紫外線を受けて分解し塩素を発生します。この塩素がオゾン層を壊すのです。
破壊されたオゾン層には「オゾンホール」という穴ができます。実際に穴が開いているわけではなく、極めて薄くなっている場所のことをいいます。オゾンホールは南極の上空で最初に発見され、最近の観測では南極大陸の2倍にまで広がっているとのこと。そのため南半球の国々では紫外線に対する警戒がとても強くなっているそうです。
一方、北極の上空でもオゾン層の急激な減少が確認され、北半球の国々も他人事とは言っていられなくなってきています。オゾン層の破壊は上空の空気が冷たい場所で起こりやすいため、南極や北極の上空から影響が広がるといわれています。
フロンガスの問題は、地球環境問題としては比較的早くに発見されたため、1995年までに先進国での生産が廃止されました。現在フロンガスの中心になっているのは、特定フロンに換わって登場した「代替フロン」と呼ばれる新しい種類のフロンガスです。
代替フロンはオゾン層を破壊しませんが、強力な温暖化物質であることは特定フロンと同じで、空気中に放出すれば、やはり地球環境に影響を与えます。将来的には、代替フロンの規制も必要といえます。
フロンガス問題の理想的な対策はフロンガスの全廃ですが、現状ではエアコンや冷蔵庫などの冷却機器にフロンガスが欠かせません。地球環境に有害なガスを安全に使う為には廃棄物として完全に回収することが必要不可欠です。その回収システムとしての取組みの一環がフロン券ですが、不法廃棄をしないなどのモラルが必要なことは言うまでもありません。
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