[687]散茶でナンパ
ただ単に「お茶しませんか?」じゃ「間に合ってます」とか「ケッコウです」といわれてしまうでしょう。けれど「散茶しませんか?」といえば「ん?なにそれ?」と思うのではないでしょうか。すでにこの段階でナンパは半分は成功してるといえます!?
散茶(さんちゃ)とはお茶の形態を言うのですが、固形のお茶(中国ではお茶といえば固形茶です)や抹茶は振ったりかき混ぜたりして淹れますが、散茶というのはそーっとお湯を注ぎ、振らないで淹れます。つまり、「フラないで」に掛けているわけです。
昔、遊郭には花魁(おいらん)といわれる上位の太夫女郎がいましたが、花魁は金持ちの旦那衆しか相手にしませんでした。貧乏人は仕方なく端女郎といわれる並みの女郎で我慢しました。しかしこの端女郎は人情厚く庶民的で、またどんな客でも「振らない」ことから洒落で散茶女郎と呼ばれていました。花魁などの華やかな遊女がもてはやされた時代に、実際に人気があったのは散茶女郎ではなかったか、と古き良き時代に思いを馳せます。
ということで、「散茶しませんか?」は「振らないでお茶に付き合ってください」という意味なのです。この文句でナンパがは成功するかどうかはわかりませんが、「ん?なにそれ?」のあと、こんな話を続ければ、お友達くらいにはなれるかもしれませんね。
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