[736]サザエ

殻に棘(とげ)を持つ独特の姿と壷焼き、そして漫画「サザエさん」でおなじみのサザエは、アワビと並んで海の味覚の代表的なものといえます。

サザエは暖流の影響を受けている日本沿岸では広く分布しており、夜行性で主に海藻類を食べて成長します。サザエは昭和63年から種苗放流技術が開発され、アワビより短い期間で成長し、高い回収率が見込めることが分かってきました。そういった技術のおかげでサザエの値段は下がってきており、手ごろなお値段で楽しめるようになってきました。サザエの旬は春ですが、夏の海辺のサザエ料理も香りと共にそそります。

サザエといえばあの「棘」がお馴染みですが、良く見ると棘のあまり目立たないものが多くなってきています。これは、波の穏やかなサザエの漁礁で育ったものは棘がないようです。一方たくましい棘のあるサザエは、荒波育ちと判断することが出来ます。不思議なことに、棘のあるサザエでも穏やかな内海に移すと棘がなくなってしまうそうです。

昔の人はこの棘のあるなしを不思議がり、「弘法大師がサザエを踏まれてけがをされたので、法力でツノを取ってしまった」というような 言い伝えを残しています。ではどちらがおいしいかといえば、もちろん荒海育ちのほう。身が引き締まってコリコリです。

サザエといえば壷焼きが有名ですが、大きなものは刺身にすればおいしくいただけます。それにはさばく技術が必要ですが、やってみると意外と簡単。コツは、サザエを蓋を下にして置く。そして10~20分は絶対さわらないこと。下に向けるとフタを持ち上げて出てきます。フタが開いたすきに貝柱のある内側にすかさず貝開けなどを差込み、時計と逆回りに素早くグルリと回すと中身が外れます。奥にあるワタを指で回しながら取り出します。

ちなみに、このワタの先端が白いのがオスであり,緑色のがメスである。味も微妙に違います。買う場合は茹でてビール等のつまみにするなら50gから90gのもの、壺焼きなら1個100gくらいのもの。刺身にはできるだけ大きいものが扱いやすいですが、200gを超えると球に値段が高くなりますので、150gくらいが使いやすいでしょう。

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