[778]東京温泉
東京都では今、温泉ラッシュです。
権利と資源を守るため許可制にしていますがその数はどんどん増えるばかり。一方で、老舗の道後温泉が基準値を守るために塩素を入れなければならない事態にもなっています。温泉は体にいいといわれてきましたが果たして本当にそうなのでしょうか?私たちはもっと正しい情報を仕入れる必要がありそうです。
東京の温泉は、化石海水という約200万年~1000万年前に海水が地殻に閉じ込められたものを、最新のボーリング技術で汲み上げたものです。元々が海水ですから温泉法によりナトリウム泉の基準を満たしているので、水温が25℃以下でも温泉として公表できることになっています。
最近はボーリング技術の発達で1000メートル以上の深さでも地下水をくみ上げることができるようになりました。地温は100メートルで約2.3℃上がるので、1000メートルではそれだけで23℃あがりますから、元の温度が15℃とすれば38℃の温泉をくみ上げることになります。ちょっとぬるめですがれっきとした温泉、というわけです。
しかしこれらの化石海水を元とした温泉はその量は限りがあるとされます。急激にくみ上げれば地下深くに空洞ができ、地盤沈下の惧れがあります。したがって、くみ上げるには計画的な管理が必要になるわけです。
昔はというと、現代のような高等なボーリング技術などありませんから、自然に湧き出てくる温泉がつまり「温泉」でした。自然に湧出する温泉は、火山性のものが多く、地下水の循環によって湧き出てきます。したがって、自然に任せた場合は枯渇することはまずありません。また湯量も多く、硫黄を主成分とし泉質も豊かです。これらは正真正銘の温泉と言うことができるでしょう。
東京で温泉を深く掘り上げることもやむをえないと思いますが、その源泉は化石海水であること、温度が低くろ過循環式にして殺菌剤を投入する必要もあること、を知っておく必要があります。
24時間温泉風呂がレジオネラ菌によって汚染され、問題になったことは記憶に新しいですね。健康ブームに乗せられ、実際は「健康」でないのに踊らされるというリスクがあります。この温泉は大丈夫か?今一度問いかける必要がありそうです。
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