[815]合資会社
法律で定められた会社とは、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の4つをいいます。日本ではどういうわけか会社といえば株式会社が主流で、有限会社は二の次的な存在。合資会社や合名会社は至っては「なにそれ?」というような待遇を受けてきました。しかし、今これらのうち合資会社が脚光を浴びています。
今までの日本の産業はモノが主体でした。設備、土地、建物、そしてそれに伴う資金が重要とされていました。そういう背景にあって株式会社や有限会社は持っているモノを評価されるいわば「物的会社」と呼ばれるものです。
昨今注目を浴びている合資会社は、設備も無く、土地や建物も無く、事務所一つで人材と頭脳を資本にビジネスを展開して成功している会社です。こういった合資会社は構成人員の技量が重視される「人的会社」といえるものです。
現在日本で株式会社がこれだけ多いのは、昔は設立が簡単だったからです。しかし、今では資本金は設立時に1000万円以上必要であり、有限会社でさえ資本金(出資金)は300万円。起業家にとっては簡単な数字ではありません。
しかし合資会社は1名以上の無限責任社員と1名以上の有限責任社員とで構成され、設立手続きや運営がきわめて簡便。資本金も特に規定が無く例えば一万円でも設立OK。このように合資会社はきわめて現代にマッチしているといえるのです。合資会社というとカッコ悪いようなイメージが以前はありましたが、これからは合資会社がトレンドといえなくもないでしょう。
ところで最近一円で会社が設立できるという話をよく聞きます。これは株式会社の最低資本金免除の特例制度といわれるもので、最初に必要とされる資本金の制限がありません。しかしこの制度は5年後には1000万円以上の資本金が必要になるというもの。わずか5年間で1000万円も利益を出さなければならないという大きな落とし穴があります。これはなかなかしんどい話ではないでしょうか?
いずれ必要となる資本金ならば、最初からきっちり計画的に資金調達を行なったほうが健全といえるでしょうし、何より最初にこそ資本金が必要なのではないでしょうか?どうもよくわからない「最低資本金免除の特例制度」です。金は無いけど会社を設立したいのなら合資会社のほうがよっぽど合理的です。