[825]西武グループ
株式情報を不当に操作し、虚偽の公告をしていたとして異例の上場廃止。西武グループが大揺れに揺れています。
西武は西武鉄道グループと西武流通グループ(セゾングループ)がありそれぞれ膨大な資産を持っています。西武鉄道グループの大将は堤義明氏。コクド(旧国土計画)と西武鉄道を主に率いていました。コクドはアイスホッケーで有名ですが、義明氏はよく練習場に顔をだすといいます。TVでも義明氏の姿を見た人は多いでしょう。西武ライオンズのオーナーもこの義明氏。苗場や軽井沢でおなじみのプリンスホテルも義明氏の手のうちです。
セゾングループの西洋環境開発が経営不振に陥り、その経営責任をとって私財を提供し清算したのは堤清二氏。清二氏は西武百貨店の株式と西友の株を売却し、西洋環境の清算資金に充てた。株を売却したことによって、大株主としてセゾングループを仕切ってきた清二氏の支配権は今はもうなくなっています。
西武の生みの親は、義明氏と清二氏の父親である堤康次郎の手腕によります。1889年3月7日に滋賀県に生まれた康次郎氏は、1918年に軽井沢を開発し、1919年箱根の強羅を買収。1920年には現在のコクドである箱根土地を設立、1946年に西武鉄道に改称しています。1953年には衆議院議長もつとめた実力者。東急の「強盗(五島)慶太」と並び「ピストル堤」と呼ばれた伝説の人物。
西武グループは頭の切れる義明氏が引き継ぎましたが、1960年に清二氏が西武百貨店を独立させ西武流通グループを旗揚げ、その後パルコの創始者をグループに引き入れ現在のセゾングループに至っています。
義明氏は堤庚次郎氏の3男。清二氏は次男。しかし、清二氏が本妻の子であるのに対し義明氏は妾の子。本来ならば正妻の子清二氏が実権を握るのが道理ですが、采配では義明氏の方が断然上で、事実上の大将は義明氏であるといって過言ではありません。
義明氏の所得は納税額ではたいしたことないのだが、うまく節税しているのか、事実上は日本一の高額所得者であるといわれれています。当然のことながらこの二人の仲はとても悪いです。
昭和平成にかけて隆盛を極めた堤家の西武グループですが、盛者必衰の掟どおり衰退の一途を辿っています。
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