[863]ペイオフ解禁の実際(2)
●破綻銀行からの借入金があった場合
破綻した金融機関からローンなどの借入金があるときは、申し出ることで預金と相殺することができます。
例えば預金が2000万円あり、借入金が3500万円ある場合は、相殺した1500万円が借入れ残として残すことが可能です。相殺金額は2000万円ですから、ペイオフの限度額1000万円を超えているので、万一の時には助かりますね。
逆に、預金が4000万円あって借入金が1500万円の場合は、相殺した金額2500万円のうち1000万円が保護されます。これはちょっと心配ですね。
借入金と相殺できるかどうかは、金融機関の預金規定によりますので、これも事前にチェックしておきましょう。ペイオフを見据えて、預金規定を改定し、相殺ができないようになっているところもあるようです。
●合併した銀行の場合
金融機関が合併することがあります。この場合は合併後1年間はそれぞれの金融機関に預けた1000万円が保護されます。
例えばA銀行に1000万、B銀行に1000万円預けているとします。その後A銀行とB銀行が合併し、C銀行になったとします。この場合、口座は統合されC銀行に2000万円預ける形となりますが、その2000万円は保護されるということになります。
ただし、合併後一年経過すると、完全に一つの銀行とみなされ、その後は1000万円までしか保護されません。1年経過する前に、何らかの方策が必要になります。
●預金が1000万以下なので安全?
ペイオフは1000万円という金額が一応の目安。1000万円までは保護されるが、それ以上の部分については保護されない。したがって1000万円以下なら安全だ。そう思っていませんか?
金融機関が破綻すると、預金保険機構が代わって払い戻すことになるのですが、その場合に預金者を確認するための「名寄せ」という作業が行なわれます。この作業をしている間は預金が一時凍結されるのです。したがって預金金額が1000万円以下であっても名寄せを行なっている最中は引き出すことができません。
名寄せに時間がかかると判断された場合は、一時的に仮払いをすることもありますが、その場合は一口座に付き60万円までとなっています。生活には足りるとはいえ、60万円ではどうしようもない場合もあります。預金が1000万円以下でも決して安心できません。金融機関を選別する眼力を養い、資産を分散させるなどの対策を怠らないようにしましょう。
<続く>