[877]モルヒネ

末期がん患者に投与されるのが、モルヒネ。がんは全身に痛みもたらし、その痛みは生きる意欲さえ奪ってしまいます。末期がん患者に対して投与されるモルヒネは、痛みに対して絶大な効果があります。痛みを取り除き、来るべき最期の時まで穏やかに生きるための対処法です。

モルヒネはケシから作られるアヘンを精製して作られます。つまり麻薬です。そんなものを使って大丈夫なのか?と疑問に思う人も多いと思いますが、使用量を間違わなければ良い薬になります。もちろん中毒することもありません。

痛みに対する薬には大まかに言うと「痛みの発生を抑えるもの」「痛みの伝達を抑えるもの」「伝達された痛みを脳でブロックするもの」の三種類があります。モルヒネは、痛みの中でも「脳で感じる部分」に作用する薬です。痛みは実在するのだけれどそれを脳で認識させないのです。

ちなみに、モルヒネはアヘンから作られますが、そのモルヒネから作られるのがヘロイン。モルヒネは水溶性の為、脳での吸収率は少ないのですが、ヘロインは脂溶性の為脳内にどんどん取り込まれてしまいます。ヘロインが怖いとされるのは「際限なく吸収されてしまう」という理由があるからなのです。

末期がんの痛みを我慢することには何の意味もありません。モルヒネなど適切な治療で痛みを消すことにより、生きる意欲・食欲が増し、体力がつくことで免疫力も増してきます。それが延命効果も結びつくのです。

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