[885]仏法僧
これはブッポウソウと読みます。元々は仏教用語で「仏=悟りを開いた人」、「法=その教え」、「僧=その教えを受けて修行する集団」をさして、これを三宝といいます。
さて、夏の初めに神秘的な声で「ブッポウソウ」と鳴くのはコノハズクという鳥です。昔は東京近郊でも聞かれたそうですが最近はなかなか聞くことができなくなってきました。
コノハズクはフクロウの仲間で夜行性。日本産フクロウ類の中でも最小の部類で、翼の長さは伸ばしても約15cmという小さなフクロウです。主に昼間は木の上や洞穴で眠り、夜活動して昆虫等を食べています。いわゆる猛禽類という鳥の仲間です。コノハズクがいつでもブッポウソウと鳴くわけではなく、ある一定の時期に移動するときのみに鳴くという事。それが初夏のため仏法僧は俳句では夏の季語となっています。
ところで、別に仏法僧という鳥もいます。こちらは昼間に活動する鳥で色は青く、羽に白い紋があるのが特徴。仏法僧の名に恥じない美しい鳥です。
昭和初期にはこの美しい仏法僧がブッポウソウと鳴くと思われていましたが、昼間にギャーギャー鳴く鳥が夜にブッポウソウと鳴くのはおかしいだろうということで調べたところ、じつは別な鳥だということが判明しました。
ということで、今では声の仏法僧はコノハズクという鳥。姿の仏法僧は仏法僧という鳥と区別されています。コノハズクも仏法僧も今ではなかなか見られなくなっているということです。たまには森の中を歩いてバードウォッチングしてみませんか?
(加筆修正版)