[889]次世代セルロイド
愛ちゃんの愛称で人気沸騰の福原愛選手。彼女が活躍する卓球の世界では、今なおセルロイドは欠かせません。あのピンポン玉はセルロイドでできているのです。これはプラスチック技術がこれだけ進んだ時代でもセルロイドの特性には敵わないのです。
セルロイドは透明性、しなやかさ、吸湿性に優れ、プラスチックにはない色と艶、柄、肌触りの良さがあることから、メガネのフレームをはじめ、玩具、筆記具などに復活しています。使われるセルロイドは酢酸セルロース。燃えやすい硝酸セルロースから改良されて作り出されたものなので安心です。
ちなみに映画のフィルムが燃えやすい硝酸セルロースが使用されていたころ、映写技師は危険物第四種の免許が必要でした。そのためその頃の映写技師は「危険物の試験」と「映写機の実技試験」の両方に合格する必要がありました。1920年代から危険な硝酸セルロースから、燃えにくい酢酸セルロースに変わり、危険物取り扱いが解除されました。そして1930年後半には映写技師の免許自体がなくなり現在に至っています。今は耐久性の強いポリエスターのフィルムベースが主体になっています。
今セルロイドの生産をしている企業は、上海に工場を持つダイセルという会社。世界で唯一つのセルロイドを生産しています。映画に欠かせないセルロイドのロールフィルムもその易燃性は改良され、酢酸セルロースとして今も写真基材として現役の材料です。
日本や中国がセルロイドの生産に力を入れられたのは、良質な樟脳が採れたからほかなりません。樟脳はクスノキから採れます。そしてそのセルロイドで行なう卓球は、日本でも盛んであり、また中国では国技となっています。そんな自然を背景とした文化の成り立ちが面白いですね。
プラスチック製品は何年たっても分解せず、ゴミは増える一方。地球環境にも危機をもたらす結果となりつつあります。そこで再びセルロイドに注目です。セルロイドの弱点は燃えやすいこと。これを改善すれば、生産も簡単で、土に還るセルロイドはプラスチックに代わる素材となりえます。セルロイド関連株は「買い」かもしれませんよ