[917]霜と霜柱
寒い冬の朝、草原や畑が真っ白く染まっているのを見たことがあると思います。自動車のフロントガラスにびっしり氷の花が張り付いていて、朝の出勤に慌てたことはありませんか?。これらは「霜(しも)」の仕業です。
霜は、冷やされて飽和寸前になった空気の中の水蒸気が、氷結点以下になっている窓やフロントガラス、木々の枝に触れた瞬間に昇華凝固し、凍結したものです。樹木に着いたものを樹霜、窓に着いた物を窓霜と呼びます。霜の形は樹枝状、針状、柱状、無定形など様々な形が見られますが、いずれも気温の上昇や日照、あるいは風を受けただけで簡単に消え去ってしまいます。早朝の短いイベントといえます。
似たようなものに霜柱(しもばしら)がありますが、これは霜とは全くの別物で、でき方もかなり異なります。大地からニョキニョキ生える霜柱はよく見ると透明な氷の柱です。てっぺんに土の粒を乗せているのが特徴です。霜柱は地中の水が凍ってそれが生長することでできるものです。
霜柱は、夜間地表面が冷やされると、温度勾配によって地中の水分が地表面に向かって移動します。この水分が氷点下の地表面にあって凍り、それを繰り返すことで成長して柱状になるのです。
霜柱の生長点は地中にあるため、それが生長すると表面だけではなく地中の土も持ち上げてしまいます。花の苗を植えておくと苗ごと押し出してしまうことがあるので、その対策に園芸家は追われます。しかし条件が揃うと丈が10cm以上にも達する霜柱は一種芸術品。冬の風物詩と言えるでしょう。昨今の冬は温暖化のせいか、あまり見なくなりましたね、霜柱。
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