[921]顔料インクと染料インク

プリンターを買おうと思ってショップに行くと顔料インクタイプのものと染料インクのものとがあり、どちらにしようか迷うことがあります。染料インクと顔料インクはどう違うのでしょうか?そしてどちらがいいのでしょうか?

そもそも染料インクと顔料インクの違いは、色材が溶剤に溶けているか、塊の状態で溶剤中に浮遊しているか、です。染料インクは溶剤と共に紙に染み込んで色を定着させるのに対し、顔料インクは紙の表面に色を乗せるイメージです。

マジックインキを使うときには、裏写りを気にしますね。マジックインキは染料タイプだからがんがん染み込みます。しかし溶剤は揮発性だからすぐに乾くわけです。この点はマジックインキのいいところです。

しかし、裏写りしてはまずい場合もあります。そういう時はポスカのような顔料系のマーカーが便利です。すぐには乾きませんが裏写りを気にせず使えます。溶剤も水性の為刺激的なにおいもありません。

顔料インクの利点としては、色の分子の結びつきが強いため、耐水性・耐光性・耐ガス性に優れることが挙げられます。一方で分子が大きいため荒さや印刷面の光沢感が出にくいという欠点もあります。最近のテクノロジーでは顔料をより微粒子化し、顔料を透明な樹脂でカプセル化することで光沢感を克服しています。

染料インク分子が小さいため発色がよい、階調が再現しやすいなどの特徴がありますが、耐久性は顔料インクには敵いません。今はまだ染料インク系のプリンターが多いですが、いずれ顔料系インクを使ったプリンターが市場を伸ばすとされています。

ちなみに顔料は「顔」の「料」と書きます。つまりこれは女の人が使うお化粧道具だったのですね。おしろいは顔の表面に塗りますが染み込んでしまっては落ちなくて困ります。従って顔料は顔の表面に乗る「おしろい」という意味なのです。

    染料インク 顔料インク
画質   ○      ×
耐光性  ×      ○
にじみ  ×      ○
精度   分子     粒子