[937]クーデター

フィリピンのアロヨ大統領が2月24日、非常事態宣言を発令しました。国軍高官によるクーデター計画発覚などを受けての措置。(2006.02.24毎日新聞)

クーデターとは「Coupe d’Etat」と書きます。これはフランス語でcoupeは叩く、Etatは国家。つまり国家を叩くという意味です。クーデターはあくまでも内部からのものであり、外部からの権力の変移はクーデターとはいいません。この場合は「革命」などといいます。

余談ですがクルマにクーペというのがありますね。これもフランス語のCoupeから来ており、意味は「屋根を叩いた」という意味です。つまり屋根を叩いて丸くなったのがクーペというわけです。

さて、クーデターですが、歴史的には数多く起こっていますが現代社会ではあまり起こらなくなってきました。クーデターはもともと中央に権力が集っている、中央集権国家で起こるものです。しかもその実態は国家軍隊内部から起こります。

日本でいえば、江戸時代は中央に権力があるといえども、地方も地方なりの権力がありました。これが封建制度ですが、このような場合はクーデターはあまり起こりません。中央の権力者が変わろうと地方はあまり関係ないからです。

しかし中央にだけ権力が集っていると、その権力次第で中央も地方も非常に影響を受けます。悪政を行なっている場合は、地方や中央権力でも2番手以下の人からは不満が生じます。その不満が爆発して起こるのがクーデターというわけです。日本では鎌倉時代が地方の力があまり無く、鎌倉幕府の力が強力であったためクーデターがよく起こったとされます。

現代社会でクーデターが起こりにくいのは、大衆が豊かになったことが大きな原因です。要するに不満が少ないのです。しかも社会構造が複雑化しており、軍部で全ての権力を握っているということが不可能となっているのも原因の一つです。

一般大衆が教育も思うように受けられず、立身出世をたくらむ優秀な若者が軍に集中する構造の国家では今後もクーデターが頻発すると考えられます。と考えると思い浮かぶのが中国、そして北朝鮮。せめて流血は避けて頂きたいと思います。