[963]盲腸やった?

2013年5月18日

人間にもありますね、盲腸。でも人間の盲腸はほとんど退化して役に立っておらず、わずかに名残となっている先端部分を虫垂といっています。そこにゴミが入って虫垂炎を起こすと、これを「盲腸」などと呼んだりします。盲腸は草食動物であった名残。今でこそ人間は雑食動物ですがもともとは草食性の動物だったのです。犬や猫も今は肉食動物ですが、盲腸があることからやはりそのルーツは草食動物。

犬や猫の盲腸を調べてみると、犬のほうが盲腸の容積が大きく、雑食性であったことがわかります。一方猫は盲腸はあるもののほとんど機能せず、犬に比べるとより完全な肉食動物ということができます。犬や猫にご飯をあげるときには犬には炭水化物を与えても平気ですが、猫にはあまりあげないほうが賢明です。白飯に鰹節をかけたネコマンマは猫にはもってのほかなのですね。

馬やウサギなどは草食性ゆえ盲腸が大発達しています。彼らは牛のように4つの胃は持っていませんが、代わりに盲腸に微生物を飼ってここで消化をしているのです。だから馬やウサギにとって盲腸はとても大事なのです。
反芻を行なう牛やヤギは食べたものを口に戻して再咀嚼するという方法をとりますが、これに対して馬やウサギは後腸発酵という方法で草を消化しています。その立役者が盲腸というわけです。

馬の場合は腸の長さが約39m。盲腸と結腸が大きくて長く、その中をゆっくりと内容物が流れ、その間に微生物の発酵によってセルロースを分解・消化・吸収を行ないます。またウサギは盲腸が胃の10倍ほどの大きさがあり、同じくここで微生物による発酵を行なっています。

しかしウサギの場合、盲腸で得られる栄養分はその前段階の小腸でしか吸収できません。そのためにウサギは盲腸便を食べてその栄養分を吸収します。ウサギは通常はコロコロの糞をしますが盲腸便はべっとりと柔らかく、お尻に直接口をつけて食べてしまいます。においは…かなり臭いらしい。しかしウサギも生きるためには食べるしかなく、背に腹は替えられないようです。