[965]コットン

優しい天然繊維として近来見直されてきているのが木綿(もめん)。もともと湿度が高く、蒸し暑い気候の日本では、汗を吸ってくれる木綿の衣類は欠かせないものとなっています。

木綿は綿花(コットン)からとれます。綿花といっても繊維をとるのは花ではなく実です。花は芙蓉の花に似ており、その花がしぼむとあとに青い実ができます。その実がはじけると中から綿が覗きます。これを綿花といっています。

綿花(コットン)は戦前には日本でも栽培していたものですが今では栽培されず、ほとんどが輸入に頼っています。綿花の生産地はアメリカ(412万トン)、中国(400万トン)、インド(270万トン)がほとんどの世界の綿製品の材料をまかなっていて、3大生産地とも言われます。ちなみにこの数字は2001年の年間の生産量です。綿花の場合は8月1日から始まり、翌年の7月31日までの1年を綿花年度といいます。

綿花から採れる繊維は長くて扁平でねじれがあり、糸につむぐとしっかり絡み合うため、綿製品は型崩れしにくく丈夫であるという性質があります。またアルカリに強く、むしろアルカリに浸すと更に強度が増すという性質があります。

先に吸水性があると書きましたが、綿花から採ったばかりの綿は繊維の表面にロウ物質が含まれていますので、無漂白のものは水をはじきます。このロウ物質を除いて吸水性を良くしたものが、脱脂綿です。

綿花は繊維をとるだけではなく、綿実には良質のたんぱく質と脂肪が含まれており、脂肪の方は高級食用油(綿実油)として、またたんぱく質は牛などに与える高たんぱく飼料として利用されています。