[1038]裁判制度改正
日本の裁判制度が大きく変わろうとしています。
まず、第一にあげられるのが、裁判員制度。民間人が無作為に呼び出しを受け、裁判に参加しその判決にかかわるというものです。
(平成21年までに裁判員制度が実施される予定)
※今までは検察官、裁判官、弁護士すべてプロが行っていました。
次に、被害者の立場からの進歩ですが、被害者が法廷において発言等の参加ができるようになる模様です。
(刑事訴訟法改正案を平成19年度国会に提出する予定)
※被害者は裁判には傍聴はできますが参加はできませんでした。
さらに、刑事裁判の証拠や判決を受けて、それに続くように民事裁判が起こせるようになったことです。裁判は長期間にわたるためその精神的負担経済的負担を軽減しようとするものです。
※今までは、刑事裁判と民事裁判は別物としてそれぞれに手続きをしなければならなかった。
この変革はいずれも、被害者の立場を考慮したものです。というのも、今までの司法はあまりにも被害者に対して配慮がなかった、という理由からです。
私は以前より「犯罪は環境で起こる」と申し上げてきました。その環境に陥れば、誰でも同じような犯罪を起こす可能性があるという論です。明日はわが身かもしれない。したがって、犯罪を減らすための科学的なアプローチは、その環境を分析すること、そして犯罪者を分析することです。この場面には被害者は登場しません。
裁判も同様に、犯罪者を分析することで、その刑罰を決めてきました。被害者は傍聴はできますが発言は許されません。犯罪にあって被害者になれば、公平な司法がその無念を晴らしてくれると思うでしょう。しかし裁判所は加害者の権利を守りこそしますが被害者の味方ではありません。そもそも裁判の段階では加害者が確定したわけではありませんし、刑事裁判は社会秩序維持を守るためにあるのであって被害者のためにあるのではないからです。
一方で被害者というのは、それは大変です。犯罪によっていきなり生活を壊されるわけですから。悪くないのに、悪者にされることもあります。経済的支援もありません。また精神的な苦痛も想像を絶します。被害にあって精神的に苦痛を味わい、それが元で病気になったり亡くなってしまう人もいるくらいです。これは被害者になって初めてわかることなのです。
日本の裁判制度は、古い体質が残っており、被害者に対して非常に冷たいのが実情です。その体質を欧米並みに是正するために行われる改正が上記3つの項目といえましょう。
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