[1149]地図の「上」はなぜ「北」か?

昨日のニュースでこのような記事がありました。

「地図の上は北で下は南」あきれた教師、分限免職(1月9日スポーツ報知)

「地図の上は北で下は南」??あきれた教師、分限免職(スポーツ報知 …
この男性教師は、20年の勤務実績を持つベテランだが「三角形は一つの曲線と二つの曲線に囲まれる」「地図の上は北で下は南」、経線を「かけせん」と読んだりと、仰天授業を展開。1年間の校外研修を行ったが、改善が見られず、今回の処分が下った。

この記事を読んだときに「別に間違っていないのでは?」と思ったのは私だけではないはず。三角形の辺が曲線と言うのは4次元的にみれば正解だし(やや強引?)、経線=けいせん=罫線=かけせんとなった思考もまぁ理解はできます。そして地図においては北が上で間違いではありません。

それより、一番気になることはこういった他愛もないことを「悪意を含んだ表現」でもってマスコミがニュースにすること。そしてそれを受けて、巷のブログで「そうだそうだけしからん」と騒ぎ立てる輩が多いこと。これを私は「揚げ足取りスパイラル」「ちくりスパイラル」と呼んで非常に憂います。社会全体が思考停止に陥るのではないかと強く懸念しております。

さて、地図の上方向は、何も断りが無い場合は北になります。したがって地図の下は南です。右は東、左が西になります。レイアウトの関係で北を上にできない場合は、どちらが北であるかを示す矢印を付けます。アラビア数字の4の字に横棒を加えたような記号です。

なぜ、北が上なのか?というとこれははっきりとわかってはいませんが、ヨーロッパで最初に地図が作られたときに、まず大陸のほとんどが北半球にあったこと、そしてヨーロッパが北極を中心にして東西に長かったこと、北を一点として円錐形に測量し、その地形図をつなげるためには、上を北に統一したほうが都合がよかったこと、などが要因として考えられます。15世紀中ばあたりより航海が盛んに行なわれるようになりましたが、このあたりから海図としての地図で、北が上になるように統一されてきたようです。

なお、北を上にするというのは、北半球の国ではどこでも採用しているようですが、南半球の国ではどうかというと、南半球の国でも地図の上は北になっています。ただし、観光客のお土産向けに南が上になった地図を売っているようで、これは一種のジョークのようなものです。南半球の国でも公の場では北が上の地図を使用しています。

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