[1178]硫化水素と亜硫酸ガス

2013年5月18日

硫化水素を発生させて自殺する事件が増えています。硫化水素は有毒ガスに値しますので、自殺するかどうかよりそれを発生させること自体犯罪となりますので止めましょうね。

硫化水素の化学式はH2S。硫黄のSの手は4本ありますがHは1本。Hが二つ結合しても手は2本余っています。だから反応(燃焼=酸化)しやすい。こういった酸素と反応しやすい気体は吸うと危険です。体内の酸素を奪って酸欠になるからです。一酸化炭素も同類。

硫化水素の特徴はその臭いです。よく「腐った卵の臭い」と表現されますが、これこそ硫化水素の臭いです。火山や温泉などで硫黄を噴出しているところでよくある臭いです。硫黄の臭いと誤解されることがありますが、硫黄自体は無臭なので、ほとんどがこの硫化水素の臭いを指しています。

硫化水素は嫌気性微生物が硫黄を分解することよっても発生しますので卵のほか硫黄を含む有機物が腐っても同じ臭い発します。糞やおならの臭いにも硫化水素は微量ですが含まれています。つまり、これを読んでいるあなたも体内で硫化水素を製造している。だから臭いけどなんとなく親しみのある臭い!?

硫化水素は燃焼しやすい物質でかつ有毒です。登山家の間では硫化水素が危険であることは事前知識としてもっています。空気より重たいので、風向きによっては山肌に沿って登山道に流れてくることもありますので、この臭いが強くなったら避難することが常識。昔あった山荘がいつのまにか移築されているのもこの硫化水素ガスの流れを避けるために行なっているのです。

燃えやすい硫化水素は燃焼(酸素と反応)して亜硫酸ガス(二酸化硫黄)になります。化学式はSO2。これはSの4本の手とOの2本の手がつながって安定していますが、水と反応して亜硫酸となりこれが酸性雨として環境問題になっています。

亜硫酸ガスも刺激臭で、硫化水素よりは毒性が低いですが、これも長時間吸い込むと呼吸器系に障害を起こし、濃い濃度の場合は死に至ることもあります。
山の場合は硫化水素と亜硫酸ガスは一緒に流れてくるので、ともに注意しなければならない山の常識となっています。