[1182]新疆ウイグル自治区

2013年5月18日

前回、チベット自治区について取り上げましたが、チベットと同じく中国の自治区で問題とされるのが新疆ウイグル自治区でしょう。

新疆(しんきょう)ウイグル自治区はチベット自治区の北にあり、東に甘粛省、北東にモンゴル国、そのほかカザフスタン、キルギス、タジキスタン、インド・パキスタンなど多くの国と接している自治区です。多くの国と接しているということはそれだけで侵略と攻防・波乱の人生?を予感させる国であります。

新疆ウイグル自治区は東トルキスタンともいいます。つまり中国というより中央アジアの国トルキスタン。その東部分が現在中国領なので中国領トルキスタンともいいます。新疆とは「新しい地」という意味。もちろん中国にとって新しい領土という意味で使われています。

新疆ウイグル自治区は中国内の省・自治区の中では最大ですが、ほとんど砂漠であるためそれほど重要視されていませんでした。その証に中国では核実験のほとんどを人の少ないこの地域で行ない、地域住民への健康被害が懸念されています。しかしエネルギー資源である石油と天然ガスの埋蔵量が豊富であることが最近になってわかり、中国としては重要な地域になりつつあります。もちろん手放したくないところです。

新疆ウイグル自治区の人口は1900万人ほど。大部分がウイグル族(約45%)、漢族(40%)で占められ、続いてカザフ族が6%、回族が4%と続きます。土着民族保護のための自治区政策なのに、意外と漢族が多いのは、政策的な意図があることを物語っています。

政府中国共産党は自治区に移民を奨励していますが、これは漢族と土着民族の混血を多くし、民族の血を薄めるとともに漢族の血を拡大することで民族間の紛争を抑えようとするのが目的。

同時にウイグル族をはじめとする東トルキスタン民族を追いやり、東トルキスタンで培われてきた文化や言語、宗教も同時に薄めてしまおうとする政策。これは【民族浄化】と呼ばれています。

現在この自治区では、地球温暖化の影響とされる砂漠化の進行や漢族の大量流入、地下資源の開発と中国東部での一方的利用、そして中国共産党主導政府によるウイグル族弾圧が問題となっています。チベット問題が世間を騒がせていますが、いずれこの新疆ウイグル地域問題にも話題になることでしょう。