[1190]目黒と目白
東京には目黒という地名があり、これは目黒区という区名にもなっているので知っているかたも多いでしょう。他にも目白という地名も東京にはあります。目黒があって目白があるなら、目赤や目青なんてのもあるのか、というとこれがあるのです。それどころか目黄というのもあります。ただしこれらは不動尊の話で地名があるわけではありません。
これらは徳川家光時代の五色不動に由来するといわれています。五色不動とは、東京の目黒不動、目白不動、目赤不動、目青不動、目黄不動の五種の不動尊の総称です。
目黒不動 – 瀧泉寺(東京都目黒区下目黒)
目白不動 – 金乗院(東京都豊島区高田)
目赤不動 – 南谷寺(東京都文京区本駒込)
目青不動 – 教学院(東京都世田谷区太子堂)
目黄不動 – 永久寺(東京都台東区三ノ輪)
この五色の「色」は陰陽五行説に基づいています。青、赤、白、黒、黄はそれぞれ東、南、西、北、中央を表しています。しかし五色不動が江戸を中心に東西南北に配置させているかというとそうでもないようです。ただし江戸を取り囲むようにぐるりと配置されていることだけは確かです。
目黒という地名が目黒不動に由来するのかというとじつははっきりしたことはわかっていません。目黒という地名が先だったのかも知れません。目黒不動明王像の目が実際黒いため、目黒不動と呼ばれますが、目白不動の目が白いかというとそんなこともないようです。もちろん目赤不動、目青不動、目黄不動も目がそれぞれの色をしている、ということもありません。
ちなみに不動明王とは、大日如来の化身で、サンスクリットでは「アチャラナータ」といい「動かない守護神」という意味です。元々は仏教、インド発祥の神様ですが、日本に不動明王信仰を伝えたのは空海とされます。
不動明王の力は強く、大日如来の仏教を信奉しない人も救う役割があります。お不動さんは大体怒っていますが、これは煩悩にとらわれている人に対し不動明王は全身で怒り、叱り、迷いから救い出そうとしているからです。力づくで悪から善に導くのが不動明王なのです。
純金製お不動さん