[1203]西武園とユネスコ村
昭和40年代、東京周辺で幼い時を過ごした人は遠足でよく西武園に行ったと思います。西武園は西武鉄道グループが当時どんどん伸ばしていた西武鉄道沿線の充実を目指して遊戯施設として開園したものです。
西武園遊園地にはジェットコースターやオクトパスなどの遊戯施設もありましたが、遠足ではそういった乗り物は有料なので乗りません。もっぱら弁当持参し併設されていたユネスコ村のほうがメインです。
ユネスコ村というのは、1951年日本が60番目にユネスコ加盟したことを記念して西武鉄道が開園したテーマパーク。入り口にはトーテムポールが立ち世界各国の家を模したレプリカが建っていて園内を巡れば世界旅行ができるという趣向。ただし家の中はがらんどうで埃っぽかったのを記憶しています。
加盟国は60カ国なのでおそらくその数だけ家が建っていたのでしょう。印象深かったのはブラジル。高床でバナナの皮を葺いたような家でしたが果たしてこれが本当にブラジルの家だったのか今となってははなはだ疑問ですが。
ユネスコ村は収益性が全く無いので、約40年続いたものの1990年(平成2年) には閉園。1993年(平成5年)には ユネスコ村大恐竜探検館として開館したものの2006年(平成18年)には閉館しています。現在はユネスコ村自然散策園「ゆり園」として営業中。
株式の虚偽記載で問題になったいわゆる西武事件は2004年の頃。ユネスコ村閉園は西武神話崩落の序章だったのかもしれません。
15日の東京株式市場で、有価証券報告書に大株主の株式保有比率を虚偽記載していた問題が発覚した西武鉄道株は前日に続き売り注文が殺到し、値幅制限いっぱいとなる前日終値比100円安のストップ安となる781円で午前の取引を終えた。(2004年10月15日 読売新聞)
テーマパークといえば今でこそメジャーですが当時は珍しいものでした。もしかしたらユネスコ村は日本初のテーマパークだったかもしれません。ちなみに日本初といわれるテーマパークは常磐ハワイアンセンター(福島県いわき市)のオープンは昭和41年1月15日。ユネスコ村は昭和26年9月16日の開園ですからそれより15年も早くオープンしているのです。